Don't aim for perfection.
ポイント4「完璧を目指さずに開き直って話す」

 英語に苦手意識を持つ人から、「発音が苦手」「文法が間違えていたら恥ずかしい」「相手に通じなかったらどうしよう」といったお悩みを聞くことがあります。しかし、前述の通り、英語は使わなければ上達しません。英語が完璧でないことを恥ずかしがって話すことを躊躇(ちゅうちょ)したり、自分の欠点ばかりを気にしたりしていては、英語力は身につかないのです。

 外国語で仕事をするときの大切な心構えとして、「『ジャパニーズイングリッシュ』でもかまわないので、完璧を目指さずに開き直って話す」ことだと麻也さんは言います。英語を使う心理的なハードルを下げるためにも、むしろ「完璧を目指さずに開き直って話す」という一種の開き直りは重要なのです。

 麻也さんに、世界を目指す若い人への、英語学習のアドバイスを聞いてみたところ、「まずは中学校や高校の英語の授業をしっかりと学ぶこと」という答えが返ってきました。

「サッカーの練習でも、時間内で30%の力で取り組む人と、120%の力で取り組む人では、当然、後者のほうが伸びます。英語も同様で、時間もカリキュラムも同じなら、一生懸命に取り組んだ子のほうが絶対に伸びる。そこで得た知識はのちにプラスになるはずです」。

 また、「やったことは必ず自分の力になる。与えられた環境の中で精いっぱいやる。言語は継続が必要なので、1日20分でも良いから続けることです」と麻也さん。

Always go for your best.
ポイント5「今の状況を最大限に生かす」

 今回、麻也さんに「英語との向き合いかた」をお聞きして感じたことは、世界で闘って成功する人は「英語ができる人」ではなく、「明確な目的意識を持ち、今の状況を最大限に生かすことができる人」ということです。

 一般のビジネスにおいても、「ターゲットの明確化」と「リソース配分の最適化」を意識しているかたは多いかと思いますが、世界で闘うための英語学習でも同じことがいえるのかもしれません。

 麻也さんが英語と向き合う姿勢には、スポーツ以外の分野でも、言葉の壁を乗り越えて第一線で活躍する人と通じるものがあります。

 麻也さんは、もしもサッカー選手ではない道を選んでいたとしても、何をしても「一流」として成功する人だと感じました。

 学生の頃から備わっていた「目的意識を持ち、今の状況を最大限に生かす力」に、世界で闘うことで培った「対応力やレジリエンス力」が備わった麻也さんが、今後、サッカー選手として、あるいは1人の人として、どのような選択をしてどのような魅力を見せてくれるのか、対談を通してますます楽しみになりました。

【吉田麻也さんの「世界で闘う英語術」5つのポイント】

1. 目的意識を持って勉強する
/Have a clear study goal.
2. 英語を使わざるを得ない状況をつくり出す
/Be in the right environment to use English regularly.
3. 英語環境でサバイブする術(すべ)を持つ
/Have a means to make up your English ability.
4. 完璧を目指さずに開き直って話す
/Don't aim for perfection.
5. 今の状況を最大限に生かす
/Always go for your best.