『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』の著者で、ダライ・ラマ、テイラー・スウィフト、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム、オードリー・タンなどの同時通訳を務めてきた田中慶子さんが、日常やビジネスで役立つ「生きた英語」がやさしく解説。あいさつの根本には、相手への気づかいや思いやりがあります。コロナ禍において、「How are you?」といった定型化したあいさつの表現に変化の兆しが出てきているようです。
「How are you?」と声をかけられたら
何と答えればよいか?
Aさん:How are you?
Bさん:I am fine, thank you, and you?
Aさん:Fine,thank you.
(株)Art of Communication代表。 同時通訳者。ダライ・ラマ、テイラー・スウィフト、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム、U2のBONO、オードリー・タン台湾IT担当大臣などの通訳を経験。「英語の壁を乗り越えて世界で活躍する日本人を一人でも増やすこと」をミッションに掲げ、英語コーチングやエクゼクティブコーチングも行う。著書に『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』(KADOKAWA)
英語の基本的なあいさつのやりかたとして、学校でこのように習った人も多いのではないでしょうか?
「How are you?」(元気?)と聞かれたら、「I am fine, thank you.」(元気だよ。ありがとう)と答えた上で、「and you?」(あなたは?)と聞き返す。すると相手が「Fine, thank you.」と答える、というものです。
高校卒業後、単身渡米してすぐに違和感を持った英語表現のひとつが、この「How are you?」です。
アメリカ人が「How are you?」と声をかけてくると、こちらの様子を聞かれているのだと思い、「学校の宿題が多くて困っている」とか、「今日は体調がイマイチなの」と話し始めると、変な顔をされたことが何度もあります。「How are you?」と声をかけてきて、こちらが返答する前に立ち去ってしまう人もいました。
実際、英語圏の国で生活していると、「How are you?」という表現は、毎日といってよいほど頻繁に耳にします。
英語がネイティブでない友人(たしかスイス人だったと思います)も「How are you?」というあいさつについて同じような違和感を持っていたらしく、2人で真剣に話し合ったことをおぼえています。「How are you?」への違和感は、日本人のみならず、英語を外国語として学ぼうとしている人にはある程度、共通しているのかもしれません。
英語がネイティブでない私たちは激しく戸惑いました。「How are you?」とは、一体、相手は何を期待して発している言葉なのだろうかと……。