「帰れる場所」が救ってくれる

私が心が折れたときに強く感じたのは、「自分らしさ」を取り戻せる場所、つまり「帰れる場所」の存在が立ち直りに大きく影響するということ。

自宅と会社あるいは学校を往復する日々が続くと、嫌な記憶がグルグルと巡るようになり、ずっとネガティブな感情に陥ります。

この状態から抜け出すためには、「一度心をリセットできるような場所」が必要です。

私は気分が落ち込んだときにいつも行く場所があります。

それは実家近くの廃寺です。

もうずいぶんと昔になくなってしまった寺の跡地で、名残の仏像などが少しあるくらいで、ほかは何もありません。

その廃寺にある石の上にずっと座ります。

聞こえるのは鳥の声と風に揺れる木や竹の音だけです。

スマホの電波も届きません。ここで心ゆくまでぼーっとしています。

最初のうちは嫌な記憶や将来の不安がグルグル巡るのですが、会社や学校、自宅みたいに嫌な記憶や

来の不安を増幅させるものがないので、次第に消えていきます。

「帰れる場所」は、別に山奥の廃寺じゃなくてもいいです。

要は普段の生活や情報から、自分を完全に隔離できる場所です。

過去とか将来とか関係なく、純粋に今の自分と話ができる場所であればOKです。

人生は長いです。「帰れる場所」をつくっておくと、本当にしんどいときは、何度も救ってくれるはずですよ。

(本原稿は、わび著『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』から一部抜粋・改変したものです)