2021年の中国の出生数は、1062万人だった。1949年の建国以来、最低水準だ。人口ピラミッドは15歳未満の年少人口が減り、65歳以上の老年人口が増加する「逆三角形型」が鮮明化しつつある。共産党政権は少子化を食い止めるために「三人っ子政策」を実施しようとしているが、党の考えとは逆に、人口減少はさらに深刻化することが懸念される。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
習近平政権は不動産バブルの後始末と
少子高齢化にどう対応するのか
中国経済の成長率の鈍化が、鮮明になっている。今後、不動産市況の低迷に加えて、少子高齢化による人口構成の構造問題が顕在化することが懸念される。2010年代半ばまで、10%を超える高い成長率を実現してきた中国の経済は、既に安定成長期に入ったと考えるべきだろう。
現在、中国共産党政権が徹底しているゼロ・コロナ対策は、人流や物流の寸断を長引かせ、個人消費などは減少するだろう。また、不動産業界の悪化が落ち着くには時間がかかる。脱炭素や異常気象によって電力が逼迫(ひっぱく)する恐れもある。いずれも、国内総生産(GDP)成長率にマイナス影響を与える。
長い目線で考えると、中国の少子高齢化は、年金システムなど社会福祉面での不安を増幅することが懸念される。子供を産んで育てるよりも、自分の老後の生活のために節約と貯蓄を重視する人が増えるかもしれない。
習近平政権が、かつてのような高成長を実現するのは困難になっている。中国は、不動産バブルの後始末に加えて、人口構成の構造問題にいかに対応していくのか注視する必要がありそうだ。