過去の経験がベストの選択
に結び付くわけではない

 2016年11月に、たった1人で起業。

 一次産業に貢献する会社として、最初に取り組んだのが新たな販路をつくることだった。一次産業の課題は“集客”だと考えたからだ。

「食べチョク」のリリース直後、総売上はたった4万円だったが、地道にマーケティング施策を重ね、「食べチョク」のTシャツを毎日着てアピール、本気度を訴えて資金調達を行った。

 会社を辞め、起業が難しいとされる領域に挑戦することへの不安はなかったのか?

「DeNAに入社するときもそうでしたが、先が見えているより、見えない中でやっていくほうが好きなのです。決まっている将来より、自分から未来をつくりにいったほうがいい。道は途切れるかもしれないけれど、今を最大に頑張るほうが、性格的に向いている」

 今の時代は、たとえ起業して失敗したとしても、イノベーションを起こせる人材として評価される、と秋元さんは言う。だからリスクを取ってでも、思い切って行動する価値があるという。

「私が産直サービスを始めるとき、多くの人から“絶対うまくいかないからやめろ”と言われました。それを聞いていたら、今の“食べチョク”はありません。過去の経験が、ベストの選択に結び付くわけではありません。前提条件が変われば、結果も変わります。無理だと言われても無理じゃないこともある。結局は、自分の選択を信じるしかないと思うのです」