全日本空輸(ANA)が客室乗務員(CA)の働き方について、4月から新しい選択肢を加えたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。従来のフルタイム就労から仕事量を5割に抑えたり、地方から遠距離通勤を可能にしたりして、CAの余剰稼働力の適正化と、働き方の多様化を狙う。一方、給与は基本給の40%にとどまるケースも多く、若手では月の手取りが10万円程度で生活に困窮し、副業する人も増えているという。社外秘資料と複数の関係者の告白から、コロナ禍におけるCAの実態を詳報する。(ダイヤモンド編集部)
ANAのCA、22年度の働き方の全貌とは?
選択肢多様化でも基本給40%の衝撃
「ねえ、何型にした? 私はメリハリ型」「私はカレンダー型!副業の予定が組みやすいから」――。今、全日本空輸(ANA)の客室乗務員(CA)の間では、こうした会話が飛び交っているという。
ダイヤモンド編集部は、ANAの社外秘資料「2022年度働き方の選択肢一覧」(CA向け)を独自に入手。ANAは約9000人いるCAの雇用を守りながら「余剰稼働力」を適正化するため、21年度から「タスク型就労制度」を導入しており、同制度を拡充した22年度最新版がこの選択肢一覧である。
コロナ禍が長期化し、航空需要は本格回復が全く見通せない状況だ。ANAは22年度も引き続き、「CA余り」が続くと見込み、新たに6パターンの勤務スタイルを追加。それぞれ「国際タスク5割・メリハリ型」「国内タスク5割・4勤型」「国内タスクNCP・4勤型」「国内タスク5割・カレンダー型」「国内タスク5割・メリハリ型」「タスク8割・内際バランス型」となっている。
21年度は、「フルタイム就労」「国際タスク5割」「国際タスクNCP」「国際タスク8割」「国内タスク5割・2勤型」「国内タスクNCP・2勤型」の六つだったので、全12パターンに拡充された。まるでスマートフォンや保険の料金プランのようなネーミングだが、CAの働き方や給料、副業の可否はどうなるのだろうか。
また、CAは新しい働き方の仕組みをどのように捉えているのだろうか。
前述のANAの社外秘資料「2022年度働き方の選択肢一覧」(CA向け)と、複数の関係者の告白から、それらを浮き彫りにする。