東証1部に上場されている株式のPER(株価収益率)は、14倍程度とされている。これは、益利回りが7%程度ということを意味する。預金金利がほぼゼロであることを考えると、日本人投資家はリスクを嫌いすぎているのではなかろうか。(経済評論家 塚崎公義)
株式投資では、配当利回りではなく
益利回りを見るべき
株式投資をする際に、配当利回りを見る人は多いが、益利回りを見たほうがよい。益利回りとは、1株当たり利益額を株価で割った値のことだ。これはすなわち、PER(株価収益率)の逆数(1÷PER)である。
利益のうち、配当されなかった部分は内部留保となるが、内部留保も結局は株主のものだ。会社が解散するときには株主に渡るし、そうでなくても、内部留保が増えれば株価が上がるのが普通であろう。他の条件が全く同じで内部留保が多い会社と少ない会社があれば、前者の株を買うのは当然だからだ。
したがって、景気悪化といった株価の変動要因がないとすれば、1株当たり利益額を株価で割った益利回りが株主の利益率になると考えてよい。
長期投資の場合には、景気が悪化して株価が下がっても、持ち続けていれば景気が回復して株価が戻り、結局「買った値段+内部留保増加額」が新しい株価になると期待できる。もちろん、必ずそうなるというわけではなく、あくまでも期待値だ。
PERが14倍なら
期待値7%の投資対象がある
東証1部に上場されている株式のPERは14倍程度とされている。この逆数(1÷14)を計算すると、日本株の平均的な益利回りは7%程度といえる。預金金利がほぼゼロであるときに期待値7%の投資対象があるならば、大変魅力的だと筆者は思うのだが、そう思わない人も多いようだ。
特に高齢者は、多額の老後資金を全額銀行預金として保有している人が少なくない。