写真:ディズニーランド,ミッキーマウスPhoto:Handout/gettyimages

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが、2022年3月期の業績予想を上方修正した。ある顧客満足度調査によると、コロナ禍でさまざまな制約があったにもかかわらず、東京ディズニーの満足度は上昇。パークチケットを「値上げ」しても人気は根強い。そこで東京ディズニーの「入園機会損失」を独自に試算してみた。この巨大な入園機会損失が、コロナ禍の収束に伴い、いわゆるリベンジ消費につながる可能性は高い。(桜美林大学教授 山口有次)

遊園地・テーマパーク業界の回復が
外食や旅行に比べて遅れている

 遊園地・テーマパーク業界のトップである東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの入園者数が、コロナ禍の影響で低迷している。筆者が各種統計を分析したところ、遊園地・テーマパーク業界全体を見ても、外食や旅行など親和性のある他業界と比べて、本格回復が遅れていることがわかった。

 下のグラフは、2020年1月以降の遊園地・テーマパークの売上高と、外食店の売上高、宿泊旅行の延べ宿泊者数、主要旅行業者の国内旅行取扱額が、19年同月に比べて、どのくらいの割合になるかを示したものだ。

 遊園地・テーマパーク売上高を示す赤い線が、他業界に比べてとりわけ低迷していることがわかるだろう。

 まず、20年2月末から6月は全国的に休園を余儀なくされた。その後、夏になっても入園者数を大幅に制限した運営を強いられた。20年秋に国のGo Toトラベルキャンペーンが始まったことで、やや復調したが、それでも対19年同月比60%を超えておらず、他業界に比べて低水準だ。

 21年に入ると感染再拡大と連動して浮沈を繰りかえし、同20%台~40%台で推移している。しかし、10月に緊急事態宣言が解除されると復調し、11月には同70%台まで回復してきている。恐らく12月もこの傾向は続いたはずだ。

 ちなみに、外食店の売上高は80%前後で高位安定している。このグラフを見る限り外食店の売上高は、テーマパーク業界から見れば落ち込みは軽度といえるだろう。外食店には21年以降も国や自治体の支援があるが、遊園地・テーマパーク業界には、そうした支援があまりないのは周知の通りだ。

 さて次に、「顧客満足度」の観点で、東京ディズニーリゾートと他社を比較してみると、またしても興味深いことがわかった。さまざまな制限があるコロナ禍において、東京ディズニーの顧客満足度が上がっていたのだ。