天を指すプラトン、
地を指すアリストテレス

 本書のプラトンの項では、ラファエッロの『アテナイの学堂』について触れましたが、あの絵の中で顔を向き合って立つ2人のうち、プラトンは天を指し、アリストテレスは地を指しています。

 アリストテレス「地面に足がついていないとダメなのです」

 プラトン「いや、天を見よ。天上界にイデアがあるのだ。この世はその模像である」

 そんな2人の会話が聞こえてくるような気がします。

 天を指すプラトンの観念論と大地を指すアリストテレスの経験主義が見事に描かれているように思えます。

 アリストテレスがプラトンのもとを去った最大の理由は、目指した哲学の相違であったと考えられます。

 アリストテレスは、極論すれば、ソクラテス、プラトンの道からギリシャ伝統のイオニア派の道に戻っていったのです。

 この本では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を出没年つき系図で紹介しました。

 僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。

(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)