会見を行うアイリスオーヤマの大山晃弘社長(右)とソフトバンクロボティクスグループの冨澤文秀社長(左)会見を行うアイリスオーヤマの大山晃弘社長(右)とソフトバンクロボティクスグループの冨澤文秀社長(左) Photo by Akira Yamamoto

アイリスオーヤマが業務用ロボットの分野で資本業務提携を発表した。「家電」のイメージが強い同社だが、実はいま注力しているのがロボットを筆頭とするBtoB事業だ。同社が描く勝ち筋とは。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

家電業界の風雲児が
BtoBビジネスを第2の柱に

「アイリスの持つ無線通信やAI(人工知能)カメラなどをロボットと組み合わせることで、より効率的な業務改善を提案していく。提携を通じて、“夢のような”事業を実現していきたい」。アイリスオーヤマの大山晃弘社長はそう力を込めた。

 2月2日、アイリスオーヤマは、ソフトバンク子会社で「ペッパー」などのロボット開発を手掛けるソフトバンクロボティクスグループに100億円を出資し、資本業務提携を行うことを発表した。

 すでに両社は昨年2月に、清掃用ロボットや配膳ロボットなどの業務用ロボットを販売する合弁会社「アイリスロボティクス」を立ち上げ、2025年までに累計1000億円の売り上げを目指すなど協業を深めていた。

 これまでも、アイリスの商品開発力や販路にソフトバンクロボティクスの持つロボット製品を掛け合わせることで高いシナジーを見込んできたが、今回アイリスがソフトバンクロボティクスへの影響力を高めることで、より踏み込んだ製品開発を共同で行える。また、「同社の製品をアイリスの工場で生産するといったさまざまな連携を視野に入れていく」(アイリス幹部)など、幅広い協業を含みにした提携といえるだろう。

 アイリスといえば、近年消費者の間では「コストパフォーマンスの良い家電製品メーカー」として認識されている。シャープやパナソニックなど家電メーカー出身者の大量採用が話題になったように、“家電業界の風雲児”という印象も強い。

 そのアイリスが家電に次ぐ“第二の柱”として期待を寄せているのが、ロボット事業をはじめとするBtoB(企業向け事業)の拡大である。今回の提携はその橋頭堡であるといえそうだ。

 家電で急成長を遂げているアイリスだが、企業向け事業はまだ認知度が低い分野だ。一体、アイリスは企業向け事業のどこに勝機を見いだしているのか。

 実は、同社ならではの勝ち筋は家電流のスタイルと共通するものがある。ポイントは二つだ。