「嘘つき」は惨敗のはじまり
民主党の敗北は致命傷になる
12月16日に総選挙が行われ、自民党294議席、公明党31議席と自公合わせて325議席の圧勝となった。
他方、民主党は57議席と惨敗した。彼らの敗因を一言で言うなら、「嘘つきは嫌われる」ということに尽きよう。
3年3ヵ月の民主党政権が、「やろうとしたことを頑張ったが、及ばなかった」のではなく、消費税率引き上げをはじめとして「やらないと言っていたことをやった」という裏切り行為を犯したのだから、仕方がない。
一般に、リーダーシップにあって最大の資源は、「リーダーが言っていることは、彼(彼女)の本心だ」とフォロワーが確信することだ。民主党が政権に返り咲くことは、少なくとも近い将来は難しいのではないか。筆者は今回の民主党の敗北は、単なる「重傷」ではなく、「致命傷」になる可能性があると思っている。
前回の総選挙で民主党に敗れる前の自民党は、利権まみれで、官僚の言いなりで、首相まで含めて大臣の辞任が相次ぐなど、政治的力量に疑問があったが、党として民主党のように明白な「嘘をついた」わけではない。
3年前の自民党の場合はやり直しが効く敗戦だったが、今回の民主党の敗戦は質が違うのではないか。
野田首相は、消費税率引き上げを公約に掲げて、もっと早く解散総選挙に打って出たら良かったのだ。この場合も選挙は負けた公算が大きいが、今回ほどには負けなかったのではないか。
そして、選挙に負けても、消費税率は自公政権が引き上げてくれただろうから、野田氏の政策目的は達成できたはずだし、その後に「嘘つき」呼ばわりされることもなかったはずだ。こうした経緯なら、民主党の出直しもずっとスムーズだろう。