サステナビリティは「AND」から「WITH」へ

 また、昨今では「マテリアリティ(Materiality)」をきっかけに変化する企業も多い。マテリアリティとは、さまざまな社会課題のなかでも、特に自社としてコミットしていく課題を取りまとめたものである。社内の共通認識の醸成や、投資家やNGOなど社外のステークホルダーとの対話の際に用いられることが多い。

 従来は、CSRやサステナビリティを所管する部門が社会的責任を負う課題を定め、ビジネスの目標の隣に「AND」の位置づけで置いていた。しかし、先述の通り、この方法では事業部門を動かす戦略性や経済価値の観点が抜け落ちてしまいがちになる。

 一方で、マテリアリティをもつことで、ビジネスとして課題にコミットすること自体が企業にとって機会となり、具体的な戦略となって、ビジネスとサステナビリティが「WITH」の関係になる。それによって、少しずつ意識を変えていく企業も多い。そのためには、自社の存在意義を社会に照らして、自社の言葉で「この課題解決に貢献する」と言えるマテリアリティであることが重要である。

 この自社の存在意義こそが、まさに「パーパス」である。企業がサステナビリティ経営を実践していく際には、パーパスが起点となるのである。

「パーパスやサステナビリティ経営の重要性は理解しているが、実際にどのように経営に落とし込んでいくべきか」という悩みを抱えている読者も多いかもしれない。パーパスを定義・明文化した後に、次のステップでは、それを実現するために「どこで戦うか」を精細にする必要がある。ここでは、現在の事業ポートフォリオを所与のものとするのではなく、いかにパーパスに照らし合わせて少しずつ変えていくかが重要だ。そのためには、次の2つの観点がある。