パーパスと事業ポートフォリオ、ビジネスモデル・戦略の一体化
(1)事業ポートフォリオ設計の軸に社会価値の観点を盛り込む
従来型の事業ポートフォリオ設計においては、市場の成長性や、自社のシェアなど、経済価値の軸による事業の将来性が重視されていた。パーパスを実現するためには、そのような軸だけでは不十分で、社会価値に照らした際にいまの事業がどうか、を見ていくことが必要になる。つまり、各事業のパーパスとの合致度/貢献度を軸に盛り込むことが重要である。
(2)事業領域の切り口を変える
従来、事業領域をとらえる際には、製品・サービス内容、国や地域、顧客セグメントをその切り口としてきたが、最近では、社会課題解決を切り口として組み込む企業も出てきている。実際に、脱炭素化領域や循環型事業領域などの事業領域(ドメイン)を定義している企業がある。自社のパーパスを達成するために特に重要な社会課題を選定し、その社会課題ごとに事業領域を分けている、先進的な例といえる。
次に、個別の事業やビジネスモデルに対しては、リフレーミングというキーワードを挙げたい。これは、個々の事業においても、ソリューション等ごとに見るのではなく、どの社会課題を解決する事業やソリューションかという観点で見て、社会課題という新たなフレームをもつことを指す。
そうすることで、これまでのフレームでは見えなかった事業間のシナジーに気づくようになる。くわえて、社会課題解決という新たな役割を既存事業に見出せるようになる。こうして、パーパス/事業ポートフォリオ/個別事業のビジネスモデル・戦略の3つが一体となり、成長を加速していくことができる(図表2)。
書籍『パワー・オブ・トラスト』では、実際にSDGsを起点としていかに新規事業を創出していけばよいか、詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。