さらに、消費者の選別眼が厳しくなった今、企業側がリーダーシップをとるプロダクトアウト型の商品開発・販売方針は通用しなくなり、消費者の声や視点を重視したマーケットイン型のビジネスへと移行する必要に迫られている。
部門が違えば別の会社のような縦割り組織が総合商社の特徴だったが、複合的な課題が増え、1つの組織でビジネスを完結することが難しくなりつつある。今後は、利害関係者の意見を調整して最適解を見つけなくてはならない。
就活のハードルは高くなる?
求められる人材の変化とは
そこで必要になるのが、「多様な経験や視点に基づくコミュニケーション力を持ち、自ら課題を見つけて解決していける人材」(佐野氏)である。ITリテラシーが高い学生なら、より重視されるだろう。
こうした状況に鑑みると、商社志望の学生にとってハードルは高くなっているといえる。グローバルで活躍できるという仕事への憧ればかりでなく、これからの商社で自分は何ができるのか、自己分析を怠らずに就活に臨みたい。
ちなみに世の中には、総合商社ばかりでなく、食料、電子部品など自社が強みを持つ商品に特化している専門商社も数多く存在する。そこでは現在もトレーディングがビジネスの主流となっている。「商社で働く醍醐味はやはりガチな営業だ」と考える人なら、専門商社への就職を考えてみるのもいい。
コロナ禍を乗り越えた商社には、明るい日差しが届き始めた。持ち前の環境適応能力で新たな課題に対応していくことができれば、業界は「晴天」が続くだろう。