資源、生活消費分野で
過去最高益を達成

 たとえば、資源価格が急落した2014・15年度やコロナ禍に陥った20年度は各社大幅な減益・赤字に陥ったものの、直近の四半期では資源価格の回復により過去最高益を達成した。

 一方、生活消費分野への投資を強化してきた伊藤忠商事は、コロナ禍の巣ごもり消費も追い風となり、20年度は純利益で5年ぶりに総合商社首位へ返り咲いた。

 戦略はまちまちだが、総合商社は逆境に直面しても自社の得意分野でたくましく生き延びてきた。

 そんな総合商社で、今後求められる人材像とはどんなものか。主に商社を目指す大学生の就活を支援するTHE BEYONDの創業者・佐野智弘氏は、「以前は有名大学の体育会出身でバイタリティのある新卒男性が好まれたが、現在はより多様な人材が求められるようになっている」と語る。各社は00年代中頃から女性、外国人、キャリア人材といった属性の多様化を進めてきたが、最近は個性など「個の多様性」も重視している。

商社が直面する3つの課題
最適解を見つけるのが困難に

 求められる人材が変わってきた背景には、脱炭素、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進、マーケットイン型ビジネスへの移行という、3つの課題がある。

 資源・エネルギービジネスに関わる商社にとって、脱炭素は喫緊の課題。温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電事業などから撤退し、風力、太陽光、地熱発電など再生可能エネルギーへの移行を早めなければならない。

 また、DX推進による事業の効率化やコスト削減、デジタルと既存事業を掛け合わせた新事業の創造に取り組む必要がある。