ネットゲームの手軽さがはらむ宿命
低年齢層プレーヤーの出入りが自由

 ネット接続プレーのお手軽さはユーザーにとって革命をもたらしたが、問題もはらんでいた。低年齢層のプレーヤーが簡単に入って来られるのである。一応、ペアレンタルコントロール(親が子どもの情報通信機器の利用を制限する取り組み)が設定できるようになっているのが一般的だ。しかし、せいぜいプレー時間や年齢制限のあるコンテンツへのアクセス不可を設定できるくらいで、その他の部分で保護者が子どものプレーに感知できる箇所はない。

 そして低年齢層向けゲームでも、特にこれは任天堂のゲームに顕著だが、大人が血道を上げてのめり込むほどの中毒性を帯びているので、青年以上の年齢層がせっせと攻略動画や神プレー動画を投稿する。小学生はよくYouTubeを見るので、それでゲームのスキルを磨いていくのである。

 小学生は学習能力においては大人に比べると真綿が水を吸うように、飲み込みが早いので、上達が非常に速い。何しろ小学生のプロゲーマーがいるくらいであるから、勘のいい子が大人顔負けのスキルを身に着けていることは決して珍しくない。うまいとどうなるかというと、他のプレーヤーを見下すのである。特に協力プレーが前提のゲームだと、足を引っ張る動きをした味方に対してイライラする。自分が足を引っ張っているのにそれを味方のせいにするケースも頻発する。

 自意識や品性が育っていれば、イライラした気持ちは胸の内にとどめておくことができる。しかし、そのイライラを発信することにためらいがない青年や大人が多く、低年齢層ゲーマーがこれをまねする。具体的にはゲーム内で相手に直接ぶつける、SNSで発信する、などである。SNSで発信する場合は、スクリーンショットを添えて相手プレーヤー名を名指しで批判したり、相手アカウントを見つけ出してからみにいったりする。

 青年以上の年齢層のゲーマーが負う責任については次に詳しく述べるが、まず、ネットにつなげたゲームを小学生にプレーさせる場合は、リビングなど親の目の届く場所に限定した方が、我が子の品性の暴走を防ぐことができるであろう。