日本のトラックメーカーのトップの位置付けにある(トヨタ自動車が50.11%を出資するトヨタグループ商用車メーカーの)日野自が排ガスデータ改ざんを行っており、同社の年間国内販売台数の実に2倍に当たる約11万5500台に不正な数値が用いられていたことが判明した。

 日野自の発表によれば、少なくとも16年頃から不正行為があったという。なぜ、今になって判明したのかという疑念は残るが、トラックメーカーのトップとしての日野自の経営責任は極めて重い。

 エンジンの排ガス・燃費のデータ改ざん問題は2016年に三菱自動車で発覚し、その後他社にも波及した経緯がある。三菱自の燃費不正問題は同社の業績悪化につながり、最終的に日産自動車の傘下に入る事態にまで至った。その反省を踏まえて、近年は自動車各社がコンプライアンス、ガバナンスの是正や徹底を進めてきた。

 ただ、この排ガスデータ改ざん問題は、カーボンニュートラル実現に向けてエンジンから転換が進む中で起きた、いわば“負の遺産”ともいえよう。

 エンジンの燃費や環境性能の向上には技術的な天井が見えつつある。そうしたエンジン開発におけるプレッシャーの中で起きた不正だとすれば、今回の日野自の事件は、エンジンを中心とした既存の自動車の限界を象徴する側面があるといえるからだ。

モビリティの進化を象徴する
ホンダとソニーの巨大タッグ

 もう一つの会見は、未来のモビリティを創造するためにホンダとソニーという異業種企業が手を組むという衝撃的な発表だった。

「車の範囲を超えた新たな価値を世に問い、モビリティの進化をリードしていく」(三部社長・吉田会長兼社長)という両トップの会見での発言からは、自動車からモビリティへの変化という将来に向けて、両社の技術と知見を生かしていくという決意がうかがえる。