人流系から物流系へ在籍型出向、助成金対象者が年間1万人を超える写真はイメージです Photo:PIXTA

在籍型出向で雇用維持に取り組む事業主を支援する「産業雇用安定助成金」の創設から1年が経過した。厚生労働省の発表によると、助成金の対象者は1万人を超え、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響を反映して、「出向元」はいわゆる“人流”を支える観光や交通系が多く、「出向先」は“物流”を支える産業や非対面系の業務が目立つ。(カーゴニュース)

出向元の最多は「運輸業・郵便業」
出向元・出向先ともに中小企業が多い

「産業雇用安定助成金」はコロナの影響で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対し助成するもの。制度創設の2021年2月5日から22年2月4日までに、事業主から都道府県労働局に提出のあった「産業雇用安定助成金出向実施計画届」を取りまとめた。

 産業雇用安定助成金の出向実施計画届受理件数は、出向労働者数は1万440人。出向元事業所数は1063事業所、出向先事業所数は1746事業所だった。企業規模別にみると、出向元・出向先ともに中小企業の方が多く、出向元における中小企業割合は約62%、出向先における中小企業割合は約58%となっている。

 出向元の最多は「運輸業・郵便業」の4103人、出向先の最多は「製造業」の2085人だった。出向元は上位6業種で全体の約93%、出向先は上位6業種で全体の約77%を占めている。出向元が出向先を上回っている業種は「運輸業・郵便業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス、娯楽業」だった。