20年以上にわたり、のべ6000軒以上の家を片づけてきた「片づけのプロ」、seaさん。家事代行マッチングサービス「タスカジ」では口コミで人気に火がつき、「予約が取れない家政婦」と呼ばれている。そんなseaさんの片づけメソッドのすべてを注入した新刊『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。ーーいちばんシンプルな「片づけ」のルール』やテレビ「セブンルール」出演でさらに話題になり、ますます依頼が殺到している。
じつは3月は、新年度に向けて片づけの依頼が多いシーズン。「大掃除で片づけたのに、あっという間に散らかってしまった」「このままでは新年度を迎えられない!」という人からの依頼が増えるためだ。
seaさんによれば、多くの依頼者が苦戦するのは「モノの仕分け」だという。「これはいる? いらない? 捨てる?」と考え続ける作業は、精神的にも体力的にも負担が大きい。
そこで今回は『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。』から、一部内容を抜粋・編集し「リビング・ダイニングのモノの分け方」について紹介する。

6000軒を片づけた家政婦が教える「片づけ下手でも服を減らせる」コツPhoto: Adobe Stock

モノの仕分けは、誰だってしんどい

 片づけは、収納する場所のモノを一度すべて出し「使うモノ」「使わないモノ」「迷うモノ」に分ける作業から始めます。

 でも、依頼者さまと一緒に「モノを分ける」作業をしていると、みなさんに共通して「手が止まりがちなモノ」があります。

 みなさんが「う~ん……」と悩むのは、「たぶんもう使わないけど、手放したら後悔しそう」なモノです。本書では、そういうモノをどう判断するとラクに分けていけるかを紹介しています。無理にモノを手放す必要はありません。「分ける」作業は、自分が持っているモノを把握し、あなたの今の生活に本当に必要なモノを見極めるためにするもの。

 絶対に守るべきルールではありませんが、止まった手を動かすためのヒントとして読んでみてください。

存在を忘れ去っていた服は、嬉しくなるけどもう着ない

 クローゼットの服をすべて出すと、「こんな服あったんだ~」と、存在を忘れ去っていた服を発見することがあります。

 久々の再会にうれしくなって、「使うモノ」に分けたくなるかもしれませんが、ちょっと待ってください。

「これ探してた!」という服は別にして、ワンシーズン以上存在を思い出さず、不自由もしなかった服は今後も着ない可能性が高いです。

高かった服は、見て決めない。着て決める

 ドレスやブランド物などの高価な服は、高かったぶん「長く持っておこう」という意識が働きがちです。その結果、5年、10年単位で手放せないままクローゼットに残りつづけることもままあります。

 でも、それだけ時間がたてばデザインが年齢に合わなくなることもあれば、体型が変わってもう着られなくなることもあります。本当は服が目に入った時点で「もう着ないかな……」と感じているはずですが、考えて手が止まるようなら、一度袖を通してみてください。

 一瞬で「ないな」というのはわかります。あきらめて手放しても後悔はしないはずですが、思いきれなければ残してもかまいません。わざわざ着るのがめんどうなら、鏡の前で体にあててみるだけでもわかるはずです。

 金額が頭をよぎると判断力が鈍りますが、現実を見ると冷静な判断ができるようになります。

「痩せたら着たい服」は、実際に痩せたらたいして着たくないかもしれない

 体型が変わって着られなくなった服は「ダイエットしたら着られるかも」という理由で「使うモノ」に分けたくなります。

 でも、ダイエットに成功したら、そのときの自分にいちばん似合う新しい服が欲しくなるはず。

 私がおすすめするのは、ダイエットのモチベーションを上げるために1、2着だけを「使うモノ」に分けて残し、目に入る位置に置いたり、定期的に着てみたりすることです。目標を可視化するとやる気が出ます。

 お気に入りの数着があれば、あとは手放してもいいかな、という気にもなりやすいです。

プレゼントを手放しても「申し訳ない」ことなんかない

 義理のお母さんが買ってくれた服や、手編みのマフラーなど「使ってないけど、ゴミにするのは気が引ける」というモノは判断に困りますよね。

 でも、自分が誰かにプレゼントをしたときのことを考えてみてください。相手に贈って喜んでもらった時点で、満足しているのではないでしょうか。だから「相手に申し訳ない」と思うことはありません。必要なモノだけ残して、必要でないなら手放してもいいと思うのです。

部屋着を「捨てられない服」の逃げ道にしない

 くたびれた外出着を捨てないための逃げ道として、部屋着がやけに増えていませんか? しかし、部屋着は着心地がすべて。お気に入りばかりをヘビロテして、まったく着ない服も多いはずです。

 部屋着は、洗濯周期に合わせて枚数を考えると納得感があります。洗濯周期プラス2枚あれば、足りなくなることはありません。たとえば3日に1回洗濯するとして、毎日新しい部屋着を着るなら、洗濯中に着る分を含めて5枚あればじゅうぶんです。

布団は管理がたいへん

 実はクローゼットに収納されていることが多いのが、客用布団です。使う予定があるなら問題ないですが、もし何年も使用していないなら、この機会にレンタルに切り替えることを検討してみてください。

 布団は場所を大きく取るうえ、洗ったり干したりとお手入れの手間がかかり、カビやダニが発生しないよう保管にも気を遣います。

 今は布団のレンタルサービスが手軽に利用できるので、思いきって手放しても困ることはないはずです。

家じゅうの「めんどくさい」をなくしましょう

 さて、ここまでリビングダイニングでモノを仕分けるコツをお伝えしてきました。繰り返しますが、無理にモノを捨てる必要はありません。

 私の著書『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。』では、仕分けたモノのしまい方もご紹介しています。

 片づけは、人生を気持ちよく過ごすためのひとつの手段です。みなさんが新年度を気持ちよく迎えられることを願っています。