20年以上にわたり、のべ6000軒以上の家を片づけてきた「片づけのプロ」、seaさん。家事代行マッチングサービス「タスカジ」では口コミで人気に火がつき、「予約の取れない家政婦」と呼ばれている。テレビ「セブンルール」にも出演するなど、話題に事欠かない。
そんなseaさんの片づけ術の集大成が、新刊『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。ーーいちばんシンプルな「片づけ」のルール』だ。この連載では、本書より一部を特別に抜粋・編集して公開する。
seaさんの片づけ術の人気の秘密は「無理に捨てない」こと。「モノを捨てるのがどうしても苦手」「捨てるのが苦痛」という理由で片づけに挫折してきた人でも、驚くほどあっさり片づけられるのだという。そのメソッドの詳細は本書に譲るが、今回は「捨てたくない気持ち」との上手な向き合い方について解説する。
捨てるのが近道、でも別の方法もある
片づけの作業のなかで、「辛い」とおっしゃる方がダントツで多いのが「モノを捨てる」ことです。
モノを捨てるのは、片づけ術のなかでも一番手軽です。ゴミ袋に放り込んでゴミの日に出せばいいだけなので、工程も簡単。しかも捨てた分だけ場所が空き、目に見えてスッキリします。
でも、「これはもう使わない」「もうボロボロだし……」といった理由で手放すと決めたモノだとしても、いざ捨てるとなると「捨てるのは心が痛む……」とためらうモノも多いもの。そういう「捨てる痛み」が強いモノを手放すには3つの方法があります。
・人にゆずる
・売る
・寄付する
「これは誰かにあげよう」「売ればいいか」という選択肢があると、捨てるプレッシャーから解放され、判断の速度が上がります。ただ、そう決めた瞬間にモノを手放した気分になってはいけません。
これらの方法は、捨てるのに比べて手間と時間がかかります。そのため、残念ながら片づけが苦手な方や時間がない方は、たいていやり遂げられません。
片づけの現場では「メルカリ」などと書かれた大きい箱が放置されているのを本当によく見ます。数年単位の年代物もザラで、生活スペースを圧迫してとても邪魔です。
そういう状態にならないためのポイントを、本書ではご紹介しています。
「人にゆずる」場合のポイント
人にゆずるモノは、必ず「いつ」「誰に」ゆずるかを決めましょう。
「来月妹に会うからいらない服をあげよう」などと具体的に決まっているならOKです。でも、「いつか誰かにあげよう」とモノの行き先がぼんやりしていると、タイミングがこないままずっと家に残り続けることになります。
「売る」場合のポイント
フリマアプリやネットオークションは、出品、荷造り、発送の工程にそれぞれ手間がかかります。予想外に高い金額で売れることもありますが、手間のわりに安い金額になることも多いです。
金額にこだわりがないのなら、持ち込んだモノを全部買い取ってくれるタイプのリサイクルショップのほうが格段にラクです。
「寄付する」場合のポイント
人にゆずる、売る、に比べて手間が少ないのは「寄付」です。捨てるよりも環境にいいし、社会貢献にもなります。
本やCDを寄付できる「チャリボン」や、服を寄付できる「古着deワクチン」などモノを送る寄付サービスは意外とあります。(※寄付できるモノには条件があります。くわしくはウェブサイトをご覧ください)
ただし、寄付には送料等がかかる場合があるので、自分が気持ちよく出せる額のサービスを選べるといいですね。
さて、ここまで読んで「うーん、めんどくさい!」と思ったあなた。
ゆずる・売る・寄付を検討したもののどれもできない、というのもひとつの結論です。この「諦めのステップ」を踏めば、スッと捨てられることもあります。本書では、無理にモノを捨てることもはおすすめしていません。無理のない範囲でモノを減らし、それでも暮らしやすくする方法をお伝えしたくて本を書きました。どうか、片づけを「つらいもの」にしないでください。大切なのは、自分の選択に納得感があることです。