ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
スロバキアはどんな国?
スロバキアはヨーロッパの中央部から東部に位置する国で、北にポーランド、東にウクライナ、南にハンガリーなど5ヵ国に囲まれた国です。
かつて同じ国を構成していたチェコは北西側に隣接し、首都ブラチスラバは国の西端、オーストリア国境近くにある内陸国です。
国土の8割は標高750m以上の山岳や丘陵地であり、平野はハンガリーとの国境を流れるドナウ川流域に広がっています。森林が国土の4割を占めています。
社会主義の崩壊、チェコからの分離
第一次世界大戦後に生まれたチェコスロバキアは、第二次世界大戦中、ナチスドイツの占領下にありましたが、戦後、ソ連の影響の下で社会主義体制の国となりました。その後、1969年に、チェコとスロバキアとの連邦制に変わりましたが、その背景には両国の民族や文化の違いがあります。
宗教では、現在無信仰の多いチェコに対して、スロバキアではカトリックが6割以上を占めています。また、スロバキアには、かつてハンガリーの支配下にあった歴史からハンガリー人が人口の約1割を占め、ハンガリー文化が存在しています。
そうしたことから、非社会主義の新体制への移行に際して、1993年、チェコと平和的に分離して新たな国となりました。
伝統的に農業国でしたが、近年、とくに西部の地域では、外国から進出した企業を中心に、自動車や電子機器が基幹産業となりつつあります。
経済的には、ドイツやチェコと強い関係をもっています。NATO、EUには2004年に加盟し、2009年にユーロを導入しました。
スロバキア共和国
面積:4.9万㎢ 首都:ブラチスラバ
人口:543.6万 通貨:ユーロ
言語:スロバキア語(公用語)、ハンガリー語、ロマニ語など
宗教:カトリック62%、無宗教13.4%
隣接:ポーランド、ウクライナ、ハンガリー、オーストリア、チェコ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)