――自分のやり方が実際どれほど効果的だったのか客観的に知るための「メタ認知」の話は、誰でも今すぐに真似できそうです。言葉だけ聞くと難しそうですが。

平尾 人間ってどうしても自分に甘くなってしまいます。だから私は「成功した」という評価を受けても、成功ではないと考えているんです。そして、後輩や先輩、社員や取引先の誰かになったつもりで、その人から見た自分がやったことを評価するようにしています。

 自分が成功だと思ったことも、取引先や取締役から見たら失敗かもしれません。自分はリーダーシップがあると思っていても、周りは誰一人そんなこと思ってない可能性もある。視点を変えて、遠くから自分を見てみないとわからないことってすごく多いんですね。

「別解」も、自分だけの考えや価値観で引き出すより、身近な人がどんなことを問題に思っているのか、どんなものを求めているのか、その人の立場になって考えるとヒントが浮かびやすいものです。とはいえ、人間は主観で生きているので、客観視する習慣を身につけるのはなかなか難しい。それでも普段から何かやるたびに、自分とは違う誰かの立場から見て考える癖をつけると、無意識のうちにメタ認知できるようになっていきます。

「失敗しても、学びになればいい」と思っている人は、いつまでも前に進めない理由