金融統計はさまざまな統計の中でも信頼性が高いものだ。しかも、迅速にデータが手に入る。したがって、経済情勢を把握するのに最適だ。以下では、中国人民銀行のサイトで公表されている金融関連データによって、中国経済を把握することを試みよう。
国有銀行が大きなシェアを持つ
中国の金融システム
データを見るに先立ち、中国の金融制度がどうなっているかを概観しておこう。
中国の産業資金供給では、銀行による間接金融が重要な役割を果たしている。株式市場や債券市場を通じる資金供給は限界的だ。この点で、日本と似ている。
銀行セクターでは、中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行、中国銀行の「4大国有商業銀行」が、圧倒的な比重を占めている。大型商業銀行の資産総額は、中国金融業全体の49.2%を占める。純利益や従業員数で見ても、同程度の比重である。
これらの銀行の時価総額は、きわめて大きい。銀行の株式時価総額の世界ランキングを見ると、中国工商銀行、中国建設銀行が1、2位を占める。中国銀行、中国農業銀行もトップ10に入る。日本の銀行はいまや世界トップ10には入らない。中国のGDPは日本とほぼ同じであることを考えると、大型商業銀行の巨大さは異様だ。