ただし、形式的にサッとお参りするのでは、大変もったいないのです。

境内でのんびりしたり、ご本堂に入れる場合は中に入らせていただいたりして、ご神仏と対話するような気持ちでゆっくり過ごすことをおすすめします。

するとしだいに、それまでは物体にしかすぎなかった仏像に宿られている仏さまの存在をありありと感じられることと思います。

そうやってご縁を感じる寺社にお参りするうちに、たとえば同じ観音さまの像であっても、お寺や仏像によってそれぞれ個性があることもわかってくるはずです。

「このお寺の観音さまは、優しくてあたたかいお姿だな」
「この観音さまは、厳しさをもって慈悲深く導いてくださっているのだな」
と、その個性の差を感じながら手を合わせるのも、参拝の醍醐味のひとつです。

また、神社であれば、同じ神さまを祀っていても、場所によって境内の雰囲気や感じ方が違います。そこにいらっしゃる神々の息吹を感じるつもりで過ごし、祈りを届けていくと、ご神仏とのつながりをより深められるでしょう。

そうやってお参りしていくと、日常でもさらに、ご神仏の存在を身近に感じられるようになります。

ご神仏とは、基本的には目上の人に接するようなつもりで、敬意をもっておつきあいしてください。大好きなおじいちゃんやおばあちゃん、敬愛する先生や先輩に会いに行くようなつもりで、ワクワクしながら寺社へお参りしてください。

人間同士でも、「心を通わせる」と言いますが、ご神仏はあなたの心からつながっているので、まさに心を通わせることになるからです。

他人には言えないこともご神仏は聞いてくださいます。心の内をぶつけるつもりで、洗いざらいお話しするといいでしょう。

ご神仏は人間と違って目に見えませんし、耳に聞こえるような会話もできません。

ですから、一方通行だと感じるかもしれませんが、心はつながっています。日常の中でメッセージをどんどん受け取っていってください。