春闘2022自動車、電機「満額回答続出」でも残る不安賃上げの流れを持続させるためには、春闘の再構築が必要だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

賃上げの流れ、持続できるか
ウクライナ問題、景気下押し

 2022年春闘集中回答の妥結額は満額回答が続出し、自動車や電機大手の多くで前年を上回る賃上げを確保した。

 ウクライナ情勢の深刻化で賃上げへの後ろ向きの動きが一気に広がる恐れがあったが、平均年収で韓国に追い抜かれ、コロナ禍からの経済回復で人手不足が強まるなか、人材確保や従業員のモチベーション確保のため、大手企業は賃上げに前向きスタンスを維持した形だ。

 だが政府が期待する「3%賃上げ」に及ぶほどではなく、これから交渉が本格化する内需産業や中小企業で、どこまで賃上げができるかにも不安が残る。

 ロシアへの経済制裁によるエネルギーや一次産品価格の高騰で物価上昇圧力が強まるなか、賃上げ率が低くとどまれば実質賃金のマイナス幅が大きくなり、景気下押しへのプレッシャーが強まることは避けられない。

 賃上げの流れを持続させるためには、春闘の再構築が必要だ。