米大統領のジョー・バイデンがポーランドの首都ワルシャワで行った演説の波紋が広がる。
「この男は権力の座に居座ってはならない」
ウクライナに軍事侵攻したロシア大統領のプーチンを名指しで口を極めて批判したことだ。
これまでもバイデンはプーチンを「戦争犯罪人」「人殺しの独裁者」などと呼んできたが、その上をいった。ロイター通信の報道によると、ロシアの大統領報道官、ペスコフは激しく反発した。
「バイデンが決めることではない。ロシアの大統領はロシア人が選ぶ」
バイデンをよく知る日本政府関係者も頭を抱える。
「軽はずみなバイデンの悪い面が出てしまった。バイデンは、このままでいいのかと、ロシア国民に呼び掛けるべきだった。想像以上に尾を引くかもしれない」
国務長官のブリンケンら米政府高官は、事前に予定された原稿にはなかった“不規則発言”として火消しに躍起になっている。
停戦交渉が進まない中、バイデンとプーチンの“正面衝突”によって戦争長期化の見通しは一層強まった。ただでさえ、ロシア軍が苦戦を強いられている背景には米英のウクライナ軍への武器と情報両面での支援がある。