ロシアがウクライナに武力侵攻したのは2月24日。圧倒的な戦力差から国際社会は短時間でロシア軍がウクライナ軍を制圧するとみていた。しかし、戦端が開かれて1カ月以上経過したが、伝わってくる情報は「ロシア苦戦」「戦闘は膠着状態」など長期戦の見通しを示すものばかり。侵攻に踏み切ったロシア大統領のプーチンは誤算続きといっていい。その焦りからなのだろう。一般市民への無差別攻撃や極超音速ミサイルの発射など見境のない武力行使を開始した。
米大統領のジョー・バイデンは口を極めてプーチンを糾弾した。
「戦争犯罪人」「人殺しの独裁者」
なぜプーチンは見通しを誤ったのか――。安全保障担当の日本政府高官は「プーチンがウクライナを見下し、高をくくっていたことが全てではないか」と指摘する。
この高官の見方はこうだ。ロシアは20万人の兵力をウクライナとの国境に集めて脅しのために軍事演習を繰り返していた。ところが、明確な戦略がないまま侵攻を開始してしまい、一度崩れた部隊の立て直しができていない。
つまり「明確な戦略、戦術がないまま武力行使したことに失敗の本質がある」(同)。さらに日本政府関係者はロシア軍部の補給体制に大きな欠陥があるとみる。
「ロシアの兵たんの問題点は以前から言われていた。『帳面と現物が合わない』。戦うための武器、食料が目的通り使われていない」