イベント、講演などを通じて、自分の強みを棚卸しするとともに、自らの市場価値を高めることで、いつライフイベントが起こっても、自分らしく活躍できる選択肢を増やす方法を学ぶ。他にも女性ロールモデルとの座談会の開催など、多方面で女性のキャリア開発にアプローチしている。「自分のキャリアや今後の希望などを整理してみると、無数にあるかに見えた不安要因は案外1つか2つに絞れるもの」と、柏村氏は指摘する。
理由や回数を問わない
リモートワークを全社に導入
(3)自由に選択できる柔軟な働き方
そして、(1)(2)を支える重要な施策が、一部の職種を除き、理由・回数を問わないリモートワークを全社に導入したことである。リモートワークは、もともと2015年から一部の組織に導入されていたが、それを全社に拡充したのだ。
社員は自分のライフスタイルに合わせ、個人で働く場所も日も時間も自由に選択できる。介護や子育てに合わせた使い方もあれば、私的に地方創生のプロジェクトに関わる社員が八ヶ岳に移住してフルリモートで働いているという例もある。「ただし、新入社員などはリモートワークだけでは不安に陥りやすいため、チームで互いがケアし合っている。また、リアル面談も行っている」(柏村氏)。
また、年間の休日を15日増やし145日に、年間平均で週休約3日になったことも大きなポイント。そのうち12日は、自分で取得日を決められる休日だ。1日の所定労働時間を7.5時間から8時間に変更し、年間所定労働時間、給与は変更しない。
(4)その他「働きがい」向上のための取り組み
これまで述べた以外にも、「個の尊重」を促す仕組みや文化は多々ある。社内公募制度もそのひとつ。これは年1回社内求人サイトで募集職種が公開され、社員が手上げ制で自由にエントリーできるというもの。
社員の発案がサービスや施策になる例も少なくない。自分が担当している仕事の中で新しいアイデアが出ると、それが即事業課題認定され、サービスに反映される風土がある。たとえば最近では、人事部の社員が、保育園入園に向けた「保活」情報のデータベース化を自主的に始めた。自治体ごとに異なる保育園の入園ルールをペーパー情報から集めて整理し、共通のデータベースとして社内で利用できるようにしたのだ。
ここで紹介した数々の施策は一部にすぎないが、「個の尊重」という理念が形骸化せずに具体化されてきたからこそ、社員は「働きがい」を感じることができるのかもしれない。