「働きがい」をサポートする
3つの柱とは
(1)会社を多様な個の可能性に期待し合い、多様な人や可能性と出会える「CO-EN」(公園、co-encounter)という機会の場とする。そこではジョブ型でもメンバーシップ型でもない、リクルート独自のロール型を支える「ミッショングレード制」という職務制度がカギとなる。
(2)ジェンダー平等をはじめ、DEI(Diversity/多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)を推進することで、誰もが個の力を発揮できるようにする。たとえば、2030年までに取締役会構成員・上級管理職・管理職・従業員それぞれの女性比率を50%にする。
(3)本人の自主性に委ねたリモートワークなど、自分で働く場所・日・時間を個人の生活環境に合わせて、柔軟に選択できるようにする。
これら3つの理念が、社員の働きがいや働きやすさにどうつながっているのか。それぞれ詳しく見ていこう。
(1)「CO-EN」とミッショングレード制
柏村氏は「リクルートとして個の尊重をテーマに「10年後、どういう会社でありたいか」を考えたとき、従来の会社や事業領域、社内外の垣根を超えた協働・協創から生まれる「CO-EN」(公園、Co- Encounter/お互いに出会える)のような場にするという概念が生まれた」と話す。多様な個人とチームがその個性を生かせる機会や環境を提供し、能力開発やチャレンジを応援し、パフォーマンスに応じた報酬が支払われる。
リクルートは創業時よりロール型を導入している。ジョブ型のように、厳密に定義されたジョブに人を当てはめるのではなく、現在その人が持つ能力にプラスして、期待値やのびしろをセットにした「ロール」(役割)が半期ごとのミッションとして渡される。
ロール型を支えるのはミッショングレード制という職務制度だ。ビジネス環境が急激に変化する中で新しい価値を生み続けるためには、メンバー1人ひとりの仕事も大きく変わる。変化する仕事の価値や期待役割にあわせてグレードを設定し、グレードに応じた報酬水準も、より市場との連動性を高めるため世の中企業をベンチマークして設定している。もちろん、きめ細かなフォローの仕組みもある。