直属の上司だけでなく
他グループの長まで育成に参加

 たとえば、「Will Can Mustシート」(WCMシート)。社員は今の仕事や将来実現したいこと(Will)を内省し、上長とすり合わせ、その実現のために活かしたい強みや克服したい課題(Can)を確認したうえで、何をすべきか(Must)を考える。このサイクルを半期ごとに回す。必ず上司も部下のシートを一緒に振り返る。

 WCMシートは自分と上司だけで完結しない。人材開発委員会という場が開かれ、「直属の上司だけでなく、隣のグループなどの組織長が集まり、1人ひとりの育成方針を踏まえWCMシートに書かれたチャレンジするテーマを議論し、ミッションを決めている」(柏村氏)。社員の成長に重きを置くと共に、どのようなチームで個人を支えるかも考慮しているのだ。

 また、ミッションごとの達成基準を置き、たとえば上司と部下が1on1の面談などを使い進捗確認や課題への支援、違和感の解消、フィードバックをし合うことで、評価にも公平感・納得感が持てるよう、日々のコミュニケーションを大事にしているという。そして若手も自分の裁量で、大胆に仕事を進めていく。

 自分の能力より高いミッションを受けるなら、研修制度も気になるところだ。そこにも手厚い選択型の研修プログラムが多数用意されている。職種別に設定されているものや、RBC(リクルートビジネスカレッジ)オンラインというオンライン講座もあり、全社員が職種、役割を問わず学習することができる。
 
(2)ジェンダー平等などDEIの推進

 リクルートは創業以来、国籍、学歴、性別などを問わない採用を行ってきた稀有な会社だ。従業員の男女比は51:49だが、役員の女性比率はまだ少ない。現在、管理職全体における女性比率は26.3%で4人に1人が女性だが、役員相当職は9.9%(2021年4月実績、株式会社リクルート単体)。これを2030年に50%まで引き上げたいという。

 ただし、男女の二項対立を招くようなものにはしない。「個の尊重、DEIを推進した結果、ひとりひとりの特徴が生かせれば、自然に男女比は同じくらいになるはず。目的は、男女問わず働きがいをもって働いてもらうことだ」と柏村氏は強調する。

 キャリアと子育ての両立は若手社員にとって、大きな悩みのひとつだろう。リクルートでも、従業員アンケートなどで、女性社員が結婚・出産などの不確実性により、キャリアへの不安を感じていることが判明。2012年よりキャリア開発支援の「Career Cafe 28」という取り組みが始まった。