そして第三に、働き方の多様化への取り組みにはどんなものがあるのだろうか。

 アビームコンサルティングではコロナ禍を機に、より一層「時間」と「場所」に囚われない働き方を目指すための制度拡充を行っている。社員の痒いところに手が届く取り組みが多い。

 たとえば、ここ1~2年の間に実現したのが、回数の制限なくリモートワークを行えるフリーロケーション制度、1日1時間は業務を行うことを前提にして1カ月単位で業務時間を調整できるフルフレックス制度だ。自己研鑽休職制度は、大学院で学んだり社会貢献活動をしたりするために、離職せずに休職で対応できるもの。一定の条件のもとで、副業制度も運用を開始している。

 コロナ禍以前から、女性活躍の推進にも余念がない。女性社員の妊娠がわかった時点で出産後のキャリアプランを上司やカウンセラーと相談しながら決める機会が設けられ、子どもの保育園探しをサポートする「保活コンシェルジュ」のサービスも利用できる。

子どもが小学校に入学するまで
利用できる休暇制度も

アビームコンサルティングが社員の成長サポートで重視する「働きがいの3本柱」とはアビームコンサルティングの社内風景

 特に両立支援制度が充実しており、社員の多様化する生活スタイルやライフイベントに即した働きやすい職場環境づくりに向けて、様々なサポート制度を導入している。たとえば、子どもが小学校に入学するまで利用できる休暇制度も導入しているという。「このような文化の中で男性社員の育休取得率も高く、2021年3月末で34.3%に達し、取得期間は平均約90日となっている」(岩井氏)。

「社員の働きがいをサポートする上で重視しているポイントは、安心・安全とやりがい」と岩井氏は語る。社員にとってまず必要なのは、キャリア構築の道が開けており、納得感のある評価を受けられるといった心理的安全性だ。そのベースの上にやりがいを促す仕組みをつくることで、社員のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能になる。

 コンサルティングファームと言えば、「実力主義で厳しい」という印象を抱く人も多いだろうが、それは一面的なものの見方に過ぎない。「個」を重視しながら日本的なチームワークも大切にするアビームコンサルティングのバランス感に、社員は「働きがい」を感じているのかもしれない。