第一に、「社員の個の尊重」についてだ。アビームコンサルティングには、新入社員を含む若手がキャリアアップのためにチャレンジし、個性を発揮できる機会がいくつも設けられている。象徴的なケースが、若手社員が自らリーダーとなってメンバーを集め、興味・関心のある研究を行う風土が日常的にあることだ。中には正式なプロジェクトになり、顧客支援に使われたものもあるという。

 たとえば、VR技術を活用して新たな顧客体験を創出する「Virtual Showroom Solution」という取り組み。実際に名古屋の中古車販売店に導入され、店舗の在庫を実物大で投影することにより、ウェブ上で車両状態の確認ができるようになった。またサントリーホールディングスにおいては、企業理念の浸透のためにVRが活用された。

ワークスタイル変革を構成する
3つのイニシアチブとは

アビームコンサルティングが社員の成長サポートで重視する「働きがいの3本柱」とはワークスタイル変革「Business Athlete」を構成する、3つのイニシアチブ
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 一方、若手ばかりでなく、全社員の自発的な行動によって推進されているのが、前述した自社の理念を冠する「Business Athlete」というワークスタイル変革だ。主に「Smart Work(働き方改革)」「Diversity & Inclusion」「Well-Being(健康経営)」の3つのイニシアチブで構成されており、社員が希望するそれぞれのテーマの活動に参加し取り組みを推進している。制度の前身は2017年から始まっており、現在はコンサルタント有志約200名が参加している。

 制度面から社員の「個」をサポートしているのが、会社が年に2回、社員が自ら応募して異動に繋げる「社内公募制」で、2021年から本格運用されている。これは社内において、新しい部署で希望のキャリアを積みたい社員と、人材を欲している部署のニーズをマッチングするきっかけになっている。

 第二に、社員の成長サポートと適正な評価の仕組みについて。社員の評価に対する不満を解消するためには、何よりも公明正大な評価制度の運用が必要だが、同時に社員のスキルアップを促す成長サポートも重要となる。同社では、これらの運用がよい形で相乗効果を生んでいる。