創業家である豊田家の支配が強まっているトヨタ自動車で、豊田章男社長から長男の大輔氏への世襲に向けた動きが活発化してきた。両氏の間に社長を務める“リリーフ役”となる次期社長の候補者が3人の副社長に絞られつつあるのだ。久々の非創業家からのトップ就任となりそうだが、社内からは「誰が上がっても同じ」という冷めた見方が出ている。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
次期社長レースに浮上した
3候補の横顔とは
トヨタ自動車が3月1日に発表した役員人事には、重要なメッセージが込められている。
この人事で、豊田章男社長(65歳)に次ぐナンバーツーとしてトヨタのかじ取りを担っていた小林耕士氏(73歳)が代表取締役を退任。それに変わる社長のサポート役として一度廃止した副社長ポストを復活させ、執行役員の中から50代前半の3人が抜てきされた。
まさに世代交代に向けた人事であり、若い役員への権限移譲が進み、経営のバトンが受け継がれていくようにも見える。しかし、実態はそう単純なものではなさそうだ。
トヨタの新体制から今後のトップ人事の行方を読み解いていこう。