ソニーグループ社長の吉田憲一郎ソニーグループ社長の吉田憲一郎氏 Photo:Bloomberg/gettyimages

この4月で、ソニーグループ社長の吉田憲一郎氏の就任期間が5年目に突入。そろそろ次期社長候補の選定が本格化する時期が到来した。後継の候補として、従来の本命ではない“ニューフェイス”の幹部の名も急浮上している。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

吉田社長は怒涛の快進撃の立役者
就任5年目突入で「後継選び」が本格化

 ソニー復活――。かつて業績低迷にあえいだソニーグループの業績は、今や絶好調だ。2021年3月期決算では純利益が初の1兆円超えを達成。22年3月期でも売上高9兆9000億円、営業利益1兆2000億円に到達する見通しで、会計基準の変更はあるもののそろって過去最高を更新することになりそうだ。

 00年代以降、エレクトロニクス事業の構造的な赤字が足を引っ張り続けた。とりわけ、テレビ事業は05年3月期から10年連続で赤字となり、累計で約8000億円もの赤字を垂れ流した。15年3月期には最終赤字1259億円で、上場以来初の無配に陥るなど辛酸をなめた。

 だが、そこからソニーの反転攻勢が始まった。テレビ事業の方針を「量から質」へ転換しハイエンド価格帯のモデルに集中した上、販売子会社の集約によるコストカットに成功。ソニーの顔であったパソコン事業を売却するなど、聖域なきリストラにも踏み込んだ。一方で、事業会社の独立採算を徹底し各事業で利益率の目標を設定するなど、社員の意識改革にも取り組んだ。

 その再生劇の立役者こそ、ソニーのトップに君臨する吉田憲一郎会長兼社長だ。

 ソニー入社後は財務部や社長室長など管理部門を歩んできたが、00年に自ら志願して、ソニーコミュニケーションネットワーク(旧ソネット、現ソニーネットワークコミュニケーションズ)という事業会社に出向した異色の経歴を持つ。05年に45歳という若さで同社社長に就任した後、その後同社の上場まで果たした。

 13年にソニー前社長の平井一夫氏から「三顧の礼」(平井氏)でソニー執行役EVP兼CSOとして呼び戻されると、本体でもその手腕を発揮した。

 吉田氏が14年にCFOに就任し本格的に主要経営メンバーに加わると、15年度からスタートした第2次中期計画では、「ゲーム」と「半導体イメージセンサー」の2つのコア事業を打ち出した。現在に至るまでの怒涛の快進撃が始まったのはこの頃だ。

 平井一夫前社長体制下での12~14年度の第1次中期計画の結果は惨憺(さんたん)たるものだった。吉田氏がCFOとして参画して以降の業績の巻き返しを見れば、その経営手腕は明らかなものだろう。

 この4月で吉田氏の社長就任期間も5年目に突入した。このまま長期政権となる可能性も否定できないものの、後継者選びが本格化する時期が到来している。

 果たして、次のトップ候補として名前が挙がるのは誰なのか。実は、これまで最右翼とされてきた人物ではない“ニューフェイス”が急浮上している