現代人の脳には“毒”が溜まっている!
無意識に溜まった脳の“毒”を出して
脳がみるみる若返る食事法を紹介する
脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師の話題書『脳の毒を出す食事』では、現代人の脳に溜まった毒を出し、脳の機能を上げる食事法を紹介しています。
今回は、あまり知られていない、認知症の意外な発生原因についてお話しいただきました。
認知症の半分は脳ではなく、骨のトラブル
認知症は脳の問題だというのは周知の事実です。
しかし私が、高齢者が認知症になっていく実態を見て思うのは、脳の問題というより骨の問題だともいえるということです。
どういうことかというと、認知症の患者さんが認知症になったきっかけを聞くと、約半数が大腿骨骨折だという現状があるからです。
骨粗しょう症などで骨が弱った人が転んで大腿骨を骨折して入院・手術。麻酔から目が覚めたらせん妄を起こしていて、そこから回復できずに認知症になっていくケースがとても多いのです。
幸いにしてせん妄の症状が出なかったとしても、リハビリに精を出すこともなくベッドの上に数週間もいれば体も脳も機能を失っていきます。頭がはっきりとしているなら、少々辛くてもリハビリ計画の通りに体を動かすべきです。
せん妄が出やすいのは大腿骨を損傷して、全身麻酔が必要な人工関節を入れる手術をした場合です。
全身麻酔は若い人にとっても大きな負担となるものですが、75歳以上の患者さんはとくに術後にせん妄が出やすくなります。
せん妄とは、時間や場所が認識できない、興奮状態になる、錯乱する、情緒や気分の異常が引き起こされるなどの症状が出る精神機能障害ですから、せん妄が長く続く場合には向精神薬、鎮静剤、睡眠剤などの薬が投与されます。せん妄状態ではリハビリもままならず、投薬して安静にした状態が続くと……身体機能は落ちていくばかりです。
せん妄が落ち着いた頃にゆっくり起こしてみようとすると、すでに起き上がれないということもよくあります。ベッドから起き上がれなければそのまま寝たきり生活に突入ということになりかねません。せん妄状態から快復せず、認知症になっていくことも多々あります。
骨粗しょう症の予防は、認知症予防の大きな柱といえます。丈夫な骨を維持することが必要なのです。
白澤卓二著『脳の毒を出す食事』では、認知症など脳の機能不全の原因となる、現代人の脳に溜まった“毒”を出して究極の健康体になる食事法の提案と、実生活で使える7日間実践レシピを掲載しています。脳と体を健康にし、本当の意味での健康長寿を目指してみませんか?(次回へ続く)
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。
白澤卓二(しらさわ・たくじ)
医師、医学博士
1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2017年よりお茶の水健康長寿クリニック院長、2020年より千葉大学予防医学講座客員教授就任。日本ファンクショナルダイエット協会理事長、日本アンチエイジングフード協会理事長、アンチエイジングサイエンスCEOも務める。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。