音楽の本が音楽以外に役立てば、もっとおもしろい

monaca:副産物で言うと、音楽の本を読んで、音楽以外に役立ってくれたら、もっとおもしろいのになと僕は思ってるんです。

――それはどういう意味ですか。

monaca:たとえばこの本では、一見バラバラだと思っていた曲にはじつは共通点があって、それを見つけることで、いろんな曲が一気に弾けるようになる。そんなアプローチをしています。

 こういった発想をピアノの本で体験して、それがビジネスに役立った。というように、全然違うジャンルで副産物的に何かが生まれたらおもしろいですね。

――たしかにそれはおもしろいですね。じつはこの本は40代、50代のビジネスパーソンにも読まれています。「ピアノが弾けるようになる」だけでなく、ビジネスでの発想に何かしらの影響があるとおもしろいですね。

monaca:勝手なイメージですが、ビジネスパーソンの方がピアノを弾く理由は「趣味や教養のため」という感じがしています。ただ「できないことができるようになるプロセス」と捉えると、仕事とつながる部分も出てくるんじゃないかと思うんですよ。

 ただひたすら反復練習するんじゃなくて、本質を掴むことで、早く習得するコツが見えてくる。そんな視点もこの本にはあります。

――monacaさんは音楽畑の方ですが、そういう感覚をお持ちなんですね。それは意外な感じがしました。さっきの「全然違うと思っていたものが、じつは意外な共通点がある」という話で思い出したことがあります。業務スーパーのヒット商品のひとつに「パックに入ったチーズケーキ」があるんです。これは、もともとあまり稼働していなかった豆腐工場で「同じラインで、別の商品を作れないか」という発想から生まれたという話を聞いたことがあります。「豆腐」と「チーズケーキ」。まさに、まったく違うと思っていたものに、けっこう共通点があった例かなと思いました。

monaca:その話、めちゃくちゃおもしろいですね。(笑)

 この本を読んだことで「ピアノや音楽の上達に役立った!」だけでなく、そんなふうに新しい発想が生まれるきっかけになったら、さらにおもしろいなと思っています。

【大好評連載】
第1回 「かんたんに楽しく! 挫折しない!」今から始めてもピアノが上達する方法
第2回 初心者も恥ずかしがり屋も、思う存分楽しめる「一回完結」のピアノ教室を始めた理由
第3回 【「コツコツ練習」が続かない方へ】いろんな曲が簡単にすぐ弾ける、今までにないピアノの学び方

monaca:factory
作曲家。ボカロP。
小学校入学とともにピアノをはじめる。教本の練習は嫌いだったが、中学生時代に自分で好きな楽譜(ファイナルファンタジーシリーズなど)を買って弾くようになり、音楽の楽しさに目覚める。高校ではブラスバンド部でチューバを担当。大学時代に初音ミクに出会い独学で作曲をはじめる。音楽活動と並行しIT系会社に就職、プログラマーとなるも、音楽への興味により2年目に退職。以降フリーランスの作曲家として活動を開始する。歌モノからBGM制作まで総制作数は12年間で500曲を超え、動画サイトで100万再生を超える楽曲も発表している。作曲と並行して都内でピアノレッスンを行っており、楽譜がよめない楽器未経験者でも1日でピアノが弾けるようになると好評を得ている。学びの楽しさを教えることが好きで、中学・高等学校の教員免許(英語)を取得。DMMオンラインサロンにて「音楽クリエイターになる学校」を運営中。著書に4万部を超えるベストセラーになった『作りながら覚える 3日で作曲入門』やコミックエッセイ『作曲はじめます!~マンガで身に付く曲づくりの基本』(共にヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)がある。
公式サイト:https://monacafactory.com
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