「ピアノや音楽の能力って、子どものころからやっておかないと身につかないんでしょ……?」と思っていませんか?
大丈夫です。今からでも間に合います! しかも、ピアノの演奏に楽譜をよむ力は必要ありません。
なぜなら「楽譜に書かれていない音楽を自由に弾く能力」を伸ばしていく方法があるからです。「まったくの未経験だけどピアノに興味がある」「音楽に苦手意識がある」「駅や空港のストリートピアノをさらっと弾いてみたいんだけど……」という人でもすぐに両手で弾けるようになります
本連載では「ピアノが弾けるようになりたい!」という方に向けて、かんたんに両手で弾けるようになる方法をわかりやすく解説します。著者は作曲家でボカロPのmonaca:factoryさん。この度『楽譜がよめなくても90分でいきなりピアノが弾ける本』を出版し、誰でもピアノを自由に楽しくかっこよく弾ける秘訣を、余すことなく伝えています。

「両手で弾きたいならこれ!」知っておきたい、大人ピアノ(キーボード)の選び方Photo: Adobe Stock

 みなさん、ピアノはすでにお持ちでしょうか?

 本物のグランドピアノはすごく高いですから「気軽にはじめたい!」という方は予算にあった電子ピアノ(キーボード)を用意するのがおすすめです。すでに本物のピアノがあるという人はラッキーですね。ありがたく使いましょう。

 電子楽器であればイヤホンやヘッドホンを接続して使えることがほとんどですので、集合住宅でも騒音を気にせず練習できます。

両手で弾きたいなら「50~60鍵」のものに

 本物のグランドピアノには88個の鍵盤があります。ですが「とりあえずはじめたい!」なら、そこまで鍵盤数が多いピアノやキーボードを選ぶ必要はありません。とはいえ、少なすぎると両手で弾くときに窮屈になってしまいます。50~60鍵くらいが十分な数です。一般的に鍵盤数と価格は比例して増えていきます。

繊細な表現ができる「ベロシティ」機能

 鍵盤を強く弾くと大きな音が、弱く弾けば小さな音が出るしくみをベロシティとよびます。電子楽器にはベロシティ対応のものと、対応していないものがあります。比較的価格が安いものは対応していないことが多いです。

 強く弾いても、弱く弾いても均一な音量しか出ないと、繊細な表現ができません。予算に余裕があれば、ベロシティ対応のものを探してみるとよいでしょう。メーカーによってはこの機能を「タッチレスポンス」と表記していることもあります。

鍵盤の「感触」もさまざま

 当然ですが、グランドピアノとキーボードとでは、鍵盤の固さや重さ、弾き心地が違います。通常、価格に比例して本物のグランドピアノのタッチに近づく傾向があります。とはいえ初心者にとっては、キーボード特有の軽い鍵盤のほうが弾きやすい場合もあります。それぞれの好みや目標にあったものを購入してください。鍵盤のタッチにこだわりたい人は、実際に楽器店や家電量販店で試奏してから買うのが安心です。

スマホやタブレットのピアノアプリは練習に使える?

 画面内のピアノの鍵盤をタップすることで音が鳴るアプリはたくさんあります。ただ、残念ながら両手で弾くには鍵盤数が少ないのが問題点です。多く表示させる機能もありますが、鍵盤が小さくなってしまいます。また、本物の鍵盤とは感触がまったく異なるので、ピアノの練習には向かないでしょう。

(本原稿は、monaca:factory著『楽譜がよめなくても90分でいきなりピアノが弾ける本』を抜粋、再構成したものです)