財政を粉々にする時限爆弾の破壊力
今なおハコモノ整備に奔走する自治体も
全国の自治体が巨大な時限爆弾を抱え込んでいる。爆発までのタイムリミットは自治体によって異なるが、いずれも各自治体の財政を粉々にするほどの破壊力を持つ。
自治体関係者はすでに時限爆弾の存在に気付いているが、自治体として爆弾処理に取りかかっているところは極めて少ない。処理の過程で「別なもの」が炸裂することを恐れ、躊躇しているのである。
なかには、爆発の時を先送りさせたいと小手先の策を模索するところもあるが、住民に危機が迫っていることをきちんと伝えず、口を閉ざしてしまっているところも多い。
全国のあらゆる自治体が抱える時限爆弾とは、一体何か? それは公共施設(ハコモノ)の更新問題である。笹子トンネル事故以来、トンネルや橋、道路などのインフラの老朽化が大きな社会問題となっている。だが、朽ち始めているのは、全国の自治体が持つ各種のハコモノも同様だ。
学校や庁舎、公民館、図書館、文化会館、体育館、高齢者施設といった各種のハコモノは、高度経済成長期に集中的に整備された。全国の自治体はまるで競い合うかのようにハコモノ整備に奔走した。
住民も行政に「あれもこれも」「ここにもあそこにも」と要求を重ねてきた。縦割り行政の硬直性(施設の多機能活用を認めず)も加わり、各自治体はハコモノをフルセットで揃えるようになった。必要度や適正規模などを吟味することなく、ひたすらハコモノの規模や数量、豪華さを追い求めていった。
ハコモノ建設の主な原資は、国からの補助金や交付税である。このため、「国からカネが出るなら、つくらなければ損だ」といった考え方が広がり、必要性の乏しいものもつくられるようになったのである。
整備したものの稼働状況が著しく悪く、地域のお荷物化した事例も多い。日本中がハコモノ整備至上主義に覆われてしまったのである(今も変わらず)。