「優れたやり方」を認識したうえで、ずらす

平尾:私は「優れたやり方」から「別のやり方」にずらしていくタイプなんです。でも黄さんは、「優れたやり方」にならないように工夫されていると感じられます。

:努力はしていますね。競合分析をして「優れたやり方」の中心辺りにいる状態が怖くて仕方がないんですよ。その瞬間に、どこかへ飛び出したくなる。優秀な人が周りにいると発見されにくいから、自分の強みを発揮するためにも異端に立つほうを選びます。

平尾:黄さん、目立ちたがり屋ですか?(笑)

:そうかもしれない(笑)。私の今やっている事業は、「ミラーフィット」も「KARADA BESTA」も、私が生み出したサービスではありません。すでに、スマートミラーを使ったオンラインフィットネスは存在していました。素晴らしいものです。ただ、それだけではつまらないと思いましたし、ただ真似するだけでは成功しないと思った。そこで、それを生かしつつ、自分らしい事業の発展のさせ方がないかと思ったんです。

平尾:同じ流派ですね。「優れたやり方」から「別のやり方」に向かって線を引くんですよね。

:私もかなり近いです。ビジネスの起点は「優れたやり方」で、前回お話ししたように「別のやり方」と「自分らしいやり方」の交点「独りよがり」を狙う。

平尾:それは商社で学んだのですか?

:私の場合は、丈さんのように「こうあるべきだ」と意識して動いたわけではなく、逃げた先に正解があった。ここ5年ぐらいで、これが私の別解だと気づきました。

平尾:私も、たまたまうまくいったとき以来、ずっとこのやり方ですね。

:私は「0→1」を綺麗に生み出すことはできません。ただ、今あるものをもっと大きくすること、もっと発展させることはできると思っていますね。