感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」から、とっておきのアドバイス。心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】<br />本当に大切なことを見極める<br />たった1つの考え方

過去よりいまを考えて判断する

きょうのひとことは、
「『もったいない』という言葉に囚われすぎない」

モノを大切にする「もったいない」という言葉がありますね。

古くから使われている「もったいない」という言葉は、仏教用語に由来しており、本来のモノの価値をなくしてしまうことが惜しいという意味なのだそうです。そこから、モノを最後まで使い切ることを大切にしようとする精神が生まれたともいわれています。

2004年のノーベル平和賞受賞者であるワンガリ・マータイさんは、世界へ向けて「MOTTAINAI(もったいない)」を広めた伝道師となりました。

このように「もったいない」という言葉は、美徳をまとっています。もちろん、そういう面はあるのですが、もうひとつの見方をすると、反面教師にもなり得ます。

というのも、目先のことにとらわれるあまり、全体としてもったいないことをしてしまう可能性も高いからです。「木を見て森を見ず」と、小さなことに心を奪われて、全体が見えなくなることのたとえがありますけれど、もったいない精神についても、同じことがいえると思うのです。

もったいないと使い続けるよりも、見切って捨てたほうが全体最適につながるケースが多いからです。

もちろん、「モノを無駄にしない」ということは大切です。しかし、その一方で、きのうの記事でお伝えしたアテクシの価値観からすると、モノより時間を無駄にしたくない。

アテクシにとって人生でいちばん大切なことは、お金でも名誉でもなく、「時間」。なぜなら人生は絶対的に限られているからです。

時間を無駄にしないという観点からすると、もったいない精神を最優先することによる時間のコストが、それこそもったいないことになりかねないのです。

だから、アテクシ自身は、目先のモノに対しては、「もったいない」という言葉をなるべく口にしないようにしています。トータルとして、もったいないかどうかを考えるようにしなくてはいけないと思っているからです。

多くの場合、「もったいない」という言葉は、目の前のものに対して使う場合が多いです。たとえば、古い洋服がまだ着られるから捨てるのはもったいない、とか。

でも、もったいないからといって、ほとんど使うことのなくなったものをため込んで、家の中がものであふれているような人もいます。もったいないという精神が、自分の判断を損ねてしまうということも大いに考えられるでしょう。

だから、目の前のものだけでなく、トータルで考えてもったいないかどうかを考えるようにしなくてはいけません。

きのうの記事では、「サンクコスト」(回収できない埋没費用)についても触れましたが、これはもったいない精神にも通じる観点です。

一度使いはじめたモノをまだ使えるのに捨てられないというのは、これまで費やして、いまとなっては回収できないコストの存在によって、なかなか合理的な判断ができなくなっているという面もあるでしょう。

「もったいない」にとらわれないためには、過去にかけた、もうとり返せないコストや労力を考慮せずに、いまの時点、いまの時間を基点にして、冷静に判断する。

もうとり返すことができない過去を軸に「もったいない」と考えてしまうと、正しい判断ができなくなってしまうので、いまを基点にして、以前とは「趣味嗜好が変わった」「やりたいことが変わった」というのであれば、目の前のものを処分するのが合理的な判断になり得るわけです。

きょうのひとことは、
「『もったいない』という言葉に囚われすぎない」
でした。

参考になったかしら?