「2017年以降、チームに貢献している行動の評価基準が明確になったそうです。プロ選手なので、チームファーストは当たり前ですが、それでも濃淡が出てくる。この評価がより明確になって、チームのために努力している選手が“浮く”という状態がなくなった。チームに貢献している人を認める文化が醸成されて、うまく回ったそうです。そうなると、今度はチームのために努力していない選手の居心地が悪くなり、抜けていくようになったそうです」

 ここで伴氏が言いたいのは、プロ選手であっても、チームのために貢献していることを評価されると、前向きなスパイラルが始まるということ。さらに努力しやすくなるのだ。

「たとえば、サッカーで左サイドを攻められているとします。そこで逆サイドの選手が『守備のために左サイドをフォローしておこう』と、左寄りにポジションをとることは、細かなことですが、チームのための行動となります。ただ、試合中に微細なポジション移動をしても気づかれないことが多々ある。そんな中で、自らとった行動に『フォロー助かった』『ポジション良かった』と認められることで、またやろうという気持ちになる」

 チームのためにとった行動を認識してあげる、言葉にしてあげることで、チームへの貢献度がさらに向上する。ピッチ上に立つベテラン選手らが、そういった姿勢でいることで、組織がうまく回り出す好例であったと言えるだろう。これはビジネスシーンにも置き換えられる。

マネジメントクラスは
意図的にメンバーの貢献を探すべき

「昨今のテレワーク化で、メンバーの努力の部分が見えにくくなっています。マネジメントクラスでは、何かをやってくれているのではないかと意図的に探しにいく必要があります。発見して言葉にして伝える。チームのパフォーマンス向上には、必要な業務かと思います。きちんと発見せずに、それっぽいことで褒められても本人はそれに気づくので逆効果。上長としての信頼損失につながります。事実を見つけることが大事なんです」