一方で、こういう状況下での業務は、マネジメントクラスも初めてのこと。「1つのチームとしてスタッフ側にもお願いがある」と伴氏は言う。上長からフィードバックをしっかり受け止めているというアクションも必要となるのだ。「継続してみます」「こういう考えのもとで行動していました」など、アクションをすることで、上長もフィードバックのポイントが理解できてくる。チーム内でポジティブな声かけがあることで、双方が働きやすくなり、かつパフォーマンス向上が見込めるのだ。

リーダーシップとは
リーダーのための言葉ではない

川崎フロンターレはなぜ常勝軍団になれたのか?チームを変えた「評価革命」

「リーダーシップとは、なにもリーダーのための言葉ではありません。それぞれのチームメンバーによる、チームを目標達成に近づける思考や行動のすべてを指します。どの立場からも、チームを引き上げ行動することが真のリーダーシップであり、そういった共通認識を持てるチームは強い。リーダーはチームメンバーの貢献を認め、チームメンバーはリーダーの配慮に感謝する。ビジネスでもスポーツでも家庭でも、お互いにとって良い環境を共に作るという合意形成が重要であると思います」

伴 元裕(ばん・もとひろ)/OWN PEAK代表、NPO法人Compassion代表理事、中央大学保健体育研究所所属。東京都大田区出身。商社にて7年間の勤務経験を経た後、アメリカのデンバー大学大学院(スポーツ&パフォーマンス心理学修士)に進学。五輪メダル獲得数最多を誇るTeam USAのメンタルアプローチを学ぶ。帰国後、メンタルトレーナーとして活動を始め、東京五輪では長期に渡り指導をしてきた選手が銀メダルを獲得するなど、プロアスリートやビジネスパーソンの実力発揮を支援している。2019年に、スポーツを通して子どもたちのウェルビーイングを高めることを理念としたNPO法人Compassionを設立。指導者、保護者と共に、子どもたちの運動実施率が高まる三位一体のスポーツ環境づくりを推進している