上海は夢を追い求める魅惑的な都市とみていた多くの中国人にとって、2カ月に及ぶロックダウン(都市封鎖)は警鐘となっている。自宅に隔離され、検疫施設に連行される可能性におびえながら生活することだけが問題だったわけではない。多くの人が、生きるか死ぬかの状態を突然強いられたことで、深い不安感にさいなまれるようになったと語っている。そして今、人生設計を大きく描き直し始めている人たちもいる。自宅マンションでピアノを教えるサンドラ・シェンさん(27)は今年に入り、同じ上海出身の夫とそろそろ子どもを持つべきかどうかを話し合っていた。シェンさんはためらっていたが、今は決断している。絶対にノーだ。この決断に至った理由は一つではなく、複数の要因が重なっている。まずは、当局が市全体の封鎖は必要ないと示唆した後に、封鎖を決定したこと。次に、ネットによる食料品の配達の確保が困難を極めたことと、検疫施設に収容された住民のマンションに当局者らが強制的に立ち入ったこと。そして、2匹の犬を飼っているシェンさんにとって恐らく最後の決め手となったのが、コーギーの飼い主が検疫施設に連れて行かれた後、そのコーギーが行政の職員に殴り殺された映像だ。
ロックダウンで人生見直し、悲観する中国の若者
厳しい規制は中産階級の多くに将来への不安を抱かせている
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