ワークマンで禁止した3つのこと
この反省から生まれたのが『ワークマン式「しない経営」』に書いたことだ。
ワークマンでは、次の3つを実行した。
◎報連相の原則禁止(ただし社歴の浅い社員は別)
◎社員にストレスをかけない
◎社内行事の全廃
まさに「聞いてない」どころか、細かい報告そのものを禁止したのだ。
ワークマンの製品開発は担当者が自由につくり、量産してから社員と幹部に新製品発表会で初めて紹介する。
製品開発者にあまり適性がなければ、2~3年、様子を見ながら代わってもらうこともあるが、基本任せる。
製品寿命は平均5年。しかも1年目は極端に少なめにつくるので、たとえ全く売れなくてもほとんど影響がない。だからみんなのびのびとつくれる。
また、大企業を蝕んでいるマイクロマネジメントも廃止した。
社長は週一、私は週2回以上本社に出社しないので、些末な報告を受けたり、どうでもいい指示を出す時間がないのだ。
これまでの経験から、経営が細かいところまで口を挟むマイクロマネジメントを行うほど、仕事や製品は中途半端でダメになっていくのだ。
開発者はキャンプ歴1年!
なのになぜ絶好調?
今年2月に参入した、テントやシュラフなどのキャンプギアは、Web注文/店舗受取限定という難易度の高いものだったが、経営幹部ではなくユーザーの声を丸呑みして開発したため絶好調。
おかげさまで、今年12月までに初ロットの40億円分が売り切れそうな勢いとなっている。
この数字はキャンプギアの中堅メーカーの売上に匹敵する。
当社のキャンプギアの開発担当者はキャンプ歴1年の初心者なので、当社のアンバサダーに全面依存した。
キャンプ場に住んでいるようなアンバサダーの提案を100%受け入れつくった製品が飛ぶように売れている。
キャンプにうとい経営者の出番はゼロだ。
経営者が「私は聞いてない」状態のほうがうまくいくのだ。
ワークマンで「私は聞いてない」と言うのは禁句で恥ずかしいことだ。
その理由は、次の3つの意識があるからだ。
1.情報は必要としている人に真っ先に集まるもの
2.たとえ情報が集まらなくても、必要な情報は自分で取りに行くもの
3.幹部向けの報告書は価値を生まないので禁止(社内の既存文書/資料のコピーで十分)
知恵があって人望がある社員には気軽に相談にいく。
社内で「私は聞いてない」というのは、自分は必要な情報が集らない「ダメ人間」で、知識もなく性格も悪いと宣言しているようなものだ。自分のためにも、今すぐやめたほうがいい。