新卒者の3大採用基準
ところで、ワークマン新卒者の採用基準は3つある。
◎1.親切心
◎2.機動力
◎3.学習意欲
能力より「親切心」が第一。
親切心のある社員にはみんな相談しやすいので、加盟店、海外メーカー、社員から情報が集まる。
当社の社是は「声のする方に、進化する」なので、現場や社員の声を取りに行く人の評価は高い。
「私は聞いてない」という受け身の姿勢は経営理念に反する。
ワークマン加盟店は希望者が多いが、加盟店の選定基準は経営者の「人柄」だ。
決して業績を上げる人ではない。
「人柄」のよい加盟店は親切心のある本部社員とよい関係ができるので、3年ごとの加盟店の再契約率は99%に達している。
人柄のよい家族からは加盟店の後継者が生まれやすく、経営者の引退後に家族やパートさんが経営を引き継ぐ加盟店が50%を占めている。
100年の競争優位を築く無形資産
この親切心のある社員と人柄のよい加盟店の組合せこそがお客様を引きつけ、ワークマンが100年の競争優位を築く基盤なのだ。
ワークマンは高機能で低価格の製品が強みと思われているが、実はこの無形資産こそが競争力の根源だと考えている。
ちなみに100年の競争優位というと先のことすぎて荒唐無稽に聞こえるが、当社は作業服では41年間、圧倒的No.1のシェアを保ち続けている。
現在は4000億円市場である「普及価格」のアウトドアウェア市場で100年のドミナントを狙っている。
『ワークマン式「しない経営」』で触れたように、報告や根回しは全く価値を生まない。
今、多くの会社では権限移譲が不十分で、つまらないことまで経営者が関与し、些末なことまで報告を求めている。
マイクロマネジメントこそ経営者の仕事だと勘違いしている。
これが平成の30年間、そして令和に入っても、日本企業が停滞感から抜け出せないでいる元凶だ。
不幸なことに、4層から5層もマネジメント層がある大企業では報告が主業務になっているケースが多い。
価値を生まない仕事の強要は社員の自発性や創造性を削いでいることに、経営者は今すぐ気づくべきではないだろうか。
『ワークマン式「しない経営」』には「頑張らないで成果を上げるノウハウ」が一冊に凝縮されています。他の著者には絶対出せない秘伝のノウハウ満載ですので、ぜひチェックしてみてください。
【著者からのメッセージ】
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ワークマンは「しない会社」だ。
◎社員のストレスになることはしない
残業しない。
仕事の期限を設けない。
ノルマと短期目標を設定しない。
◎ワークマンらしくないことはしない
他社と競争しない。
値引をしない。
デザインを変えない。
顧客管理をしない。
取引先を変えない。
加盟店は、対面販売をしない、閉店後にレジを締めない、ノルマもない。
◎価値を生まない無駄なことはしない
社内行事をしない。
会議を極力しない。
経営幹部は極力出社しない。
幹部は思いつきでアイデアを口にしない。
目標を定め、ノルマを決め、期限までにやりきるといった多くの企業がやっていることは一切しない。
とりわけ「頑張る」はしないどころか、禁止だ。
それでも業績は10期連続最高益を更新中だ。
2020年3月期は、チェーン全店売上(ワークマンとワークマンプラス)が1220億円(前年同期比31.2%増)。営業利益192億円(同41.7%増)、経常利益207億円(同40%増)、純利益134億円(同36.3%増)となった。
2020年9月末現在、ワークマンとワークマンプラスの店舗数は885店舗(ワークマン663店舗、ワークマンプラス222店舗)となり、ユニクロの国内店舗数を抜いた。
「しない会社」が、どのようにブルーオーシャン市場を発見し、客層拡大して業績を上げたのか。どのように自分の頭で考える社員を育てたのか。
これが本書のテーマである。
このテーマを解読する上で大切なのが、本書で初めて紹介する「しない経営」と「エクセル経営」だ。
「しない経営」により「社員よし」「加盟店よし」「取引先よし」「会社よし」の”四方よしの経営”ができている。
「しない」とは、相手の立場で考えると、「されない」ということだ。
無用な干渉をされないことで、自分の時間を有効に使えるので、ストレスフリーで売上を上げ、自分のペースで楽しく働くことができる。
ワークマンにきてびっくりしたのが、データ活用ゼロの会社だったことだ。
店舗在庫の数量データすらなかった会社が、高度なAIソフトやデータサイエンティストを使わずに、ただのエクセルを活用することで、どのように変わったか。
ワークマンプラスの品揃えは「エクセル経営」で決まった。
2012年以来、8年間飽きずにコツコツとデータ活用研修をやり続けている。
「継続は力なり」とはよく言ったもので、社員のデータ活用力は年々高まっている。
まったく自信のなかった人、存在感のなかった人、店長に信頼されていなかった人が、いまやトップクラスの人材になり、会社を引っ張るリーダーになった。
この本の最終章には、早稲田大学大学院・ビジネススクールの入山章栄教授との対談で、いま話題の「両利きの経営(知の探索×知の深化)」はどうすれば実現するかを考察した。
本書で紹介する方法は特別なものではない。すべての企業で実施できるものばかりだ。
ビジネスに携わる方には企業変革のケーススタディとして、経営者や幹部の方には、経営変革の参考材料として活用いただければと思う。
この本は私の初めての本だ。成功談や美談を書く気は一切ない。
還暦直前に入社した私が、拙い頭でどう考え、実行したか。
それだけをありのままに書こうと思う。
ps.【だから、この本。】で5回、インタビューを受けました。こちらもぜひご覧ください。
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日本が誇る経営学の4大泰斗が絶賛!
「『ユニクロ』にも『しまむら』にもない勝ちパターンを発見した」(早大・内田和成教授)
「ワークマンの戦略は世紀の傑作。これほどしびれる戦略はない」(一橋大・楠木建教授)
「縄文×弥生のイノベーションは実に読みごたえがある」(BCGシニア アドバイザー・御立尚資氏)
「めちゃめちゃ面白い! 頑張らないワークマンは驚異の脱力系企業だ」(早大・入山章栄教授)
(目次)
☆【はじめに】4000億円の空白市場を切り拓いた秘密
☆【第1章】「しない会社」にやってきたジャングル・ファイター
☆【第2章】ワークマン式「第2のブルーオーシャン市場」のつくり方
☆【第3章】「しない経営」が最強の理由
☆【第4章】データ活用ゼロの会社が「エクセル経営」で急成長した秘密
☆【第5章】なぜ「エクセル経営」で社員がぐんぐん成長するのか
☆【第6章】興味こそがやりきる経営のエンジンである
☆【第7章】「両利きの経営」はどうすれば実現できるのか
……早稲田大学大学院・ビジネススクール 入山章栄教授との対談
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