アフターコロナのペット市場は
どうなる?

 新型コロナウイルスの影響で犬や猫を中心としたペットの新規飼育頭数が増加し、市場規模の拡大につながっていると冒頭でお伝えしました。そこで気になるのがアフターコロナにおけるペットビジネス市場の動向です。続いては、アフターコロナを前提として今後のペット市場について見ていきましょう。

 アフターコロナにおけるペット市場でもっとも大きな変化が予想されるのは、新規飼育頭数の減少です。コロナ禍において急速に新規飼育頭数が増加したこともあり、今後はそれほど大きく伸びることはないでしょう。またコロナ禍において新規飼育頭数は増加したものの、犬猫の飼育頭数そのものは12年以降、緩やかながら減少傾向にあります。

 さらに、この状況は今後も続くと考えられます。その理由について考えてみましょう。

生体販売は縮小の可能性?
ブリーダービジネス問題とは

 現在、日本におけるペット生体販売や関連サービスの市場規模は全体の半分近くを占めています。しかし、この分野は今後縮小する可能性が高まっています。

 その理由は、世界的な生体販売やブリーダービジネスが問題視されるようになったからです。特に欧米諸国では生体販売に関する法整備も厳しくなり、フランスでは正式に生体販売の禁止が決定しています。

 日本においては、すぐに生体販売が禁止されるといったことはありません。しかし動物愛護関係の法整備も進められており、一部の生体販売やブリーダービジネスが制限される可能性は十分にあります。

 加えて、一般消費者の生体販売への意識も変化しつつあります。ACジャパンは21年から動物愛護を啓蒙するCMを公開しています。「その一目惚れ、迷惑です。」というキャッチコピーとともに話題になりました。

 無責任にペットを購入して飼えなくなった結果、飼育放棄をする飼い主がいたり、殺処分となる犬や猫が増えているという事実が、大きな話題を呼びました。

 犬や猫などのペットの殺処分についても報道されるようになった影響から、犬や猫はペットショップで購入するのではなく、保護犬や保護猫の里親になろうという運動も各地で起こっています。

 さらに、6月1日から改正動物愛護法が施行され、ペット店などで販売する犬や猫へのマイクロチップ装着が業者側に義務付けられました。これには、ペットと飼い主を確実な情報で紐付けることで「飼育放棄」を抑制する狙いもあります。

 2019年6月にマイクロチップ装着義務化と同時に成立した「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」による、飼育放棄や動物虐待などに関する罰則の強化と連携することで、より大きな効果を期待できるでしょう。

 これらの要因から生体販売に関する分野は急激に縮小する可能性は低いですが、緩やかに規模は小さくなっていくと考えられます。

 ここまでの現状を見ると、ペット市場の規模も縮小するのではないかと思うかもしれまん。しかし、一概にそうとは言い切れません。規制は強化されつつありますが、それでもペットビジネスの未来は明るいといえます。ここからはその理由について考えていきます。