お金持ちとお金がない人の決定的な違い

――傷害保険とか医療保険は、案内が来ると「念のため入っておいたほうがいいかも?」と思ってしまう人はいるでしょうね。

石阪「大切なご案内」「重要」と書かれた郵便物を見ると、よく読まないで大事なものだと思い込んでしまう人が多いんです。紙片づけが苦手な人は、「なんだか難しそう……」と資産形成や資産管理の仕方に自分で向き合おうとせずに、人に勧められた金融商品によく考えず申し込んでしまう人も目立ちます。

家電や調理器具に付いている保証書も、1年間はもちろん、3年間、5年間、なかには10年間保証のものもありますけど、壊れたときに保証期間内だっていうことを忘れている人が多いんです。取扱説明書を全部保管している人がいますが、インターネットで同じ説明が公開されているので捨てても大丈夫。大事なのは保証書だけです。

そのように細かいことで損している人は、お金が貯まりません。逆にお金持ちの人は、お金回りの書類をすべて把握していてきっちり管理しています。不動産の仕事でいろんなお客様と接していますが、「この書類はありますか?」と言ったときにぱっと取り出すのはお金をしっかり稼いでいる人が多いですね。いつまで経っても提出書類を出さない人はやはり家が散らかっていて、書類がみつからない、時間がない、金銭的に困っておられる方などが多いように思います。

――紙片づけの問題はほぼお金の問題に直結するんですね。

石阪紙一枚で人生を踏み外す人もいますから。クレジットカード会社から届いた催促状を放置した方は大変ですよ。一度ブラックリストに載ってしまうと、カード払いのスマホも使えなくなったり、ローンも組めなくなることも。だから私も子どもたちには「あらゆるお金の請求が来たら、すぐ支払いなさい」と言っています。催促状が来る時点で危ないので、そもそも支払いが滞らないように注意しています。

――たったの紙一枚で、人生の階段を踏み外すこともある。本にもいくつか出てくるお客様たちの失敗談にはゾッとしました。

石阪:他にもたくさんあります。たとえば都心に住んでいる方で、子どもが赤ちゃんの頃から英才教育や小学受験のために800万円ほど使ったというお客様。習いごとも英語、ダンス、レゴ、プログラミング、幼児教室とたくさんやらせていたんですが、小学校受験でなんと志望校の願書を出し忘れたそうなんです。「お母さんのせいで失敗した」って子どもに一生言われ続けるわけですから、ご本人が一番傷ついていて。反省のあまり私の書類片づけ講座に申し込んでくださったんです。

――そういえば、高校教諭が願書を出し忘れて、生徒が大学受験できなくなったケースもありました。紙の事故って怖すぎますね。怖いからこそしっかり管理しないと。

石阪:そういうニュースもありましたよね。だから私、紙片づけをして紙の事故をなくしてほしいんです。その願書を出し忘れたお母さんも、紙の管理ができないほどにいろんなことを詰め込み過ぎていたんです。子どものために、よかれと思って何でもかんでもやらせすぎて、一番大事なことが抜け落ちてしまった。紙の片づけをして必要なものだけ選び抜く力があれば、そんなことにはならなかったはずです。子育てに限らず、どんなことでも、何を優先するかを見極める必要があります。

掃除が苦手な人は、洗剤を何種類も買ってスペースを狭くし逆に掃除が行き届かない部屋にしていたり、料理が苦手な人は、便利グッズをたくさん取り入れて、調理スペースにモノがあふれて、料理がままならなかったりします。紙が片づかない人たちも、基本は同じです。

1000軒以上の家を片づけて分かった!紙が片づいていない家庭は、お金が貯まらない理由