1000軒以上の家を片づけて分かった!紙が片づいていない家庭は、お金が貯まらない理由

片づけの中でも最難関の「紙の片づけ」。「今すぐ必要な紙が肝心なときに見つからない!」「支払いや振り込みの期限が過ぎて大失敗した!」「大事な紙をなくして信頼を失った!」など紙や書類の整理ができないために起こる悲劇も数え上げればキリがない。しかし、どうすれば紙が片づくのかわからない。そんな永遠の悩みをズバリ解決する唯一の本が石阪京子さんの『人生が変わる紙片づけ!』だ。本書には、必要な紙が5秒で取り出せる紙片づけ術の豊富なメソッドと、紙一枚で大惨事を招いた人たちのエピソードがたくさん出てくる。他人事ではないと思う人もきっと多いはずだ。そこで、本の発売を記念して石阪さんにインタビューした内容を4回に分けてお届けする。第1回目は、お金と信用の問題に直結する紙片づけの重要性について聞いた。(取材・構成/樺山美夏)

紙の片づけが苦手な人は、お金の管理も苦手

――数ある片づけ本の中でも、「紙の片づけ」に特化した本はめずらしいです。前著『これが最後の片づけ』でも少し書類整理には触れていますが、紙の片づけ方だけで1冊まとめようと思われたのはなぜでしょうか。

石阪京子さん(以下、石阪):私の片づけレッスンは、3日で家一軒生まれ変わるほど最後の最後まできれいに片づけていただいたら、その後リバウンドもしません。でも、きれいな家に暮らすだけでは人は幸せになれないって、つねづね思っていたんですね。

私のレッスンでは、モノを片づけながら旦那さまとの出会いや、子育てのこと、いろんなお話をするので、最後はお友達のようにみなさん、様々なお悩みを打ち明けてくださいます。そのなかでよくお聞きするのがお金に関するお悩みです。

「実は経済的に心配なのです」とおっしゃる方が多いんです。レッスン料を払って片づけしている人って、お金持ちのイメージがあると思いますけど、全然違うんですよ。

――それは意外ですね。

石阪:「美容室に行くお金があったら、石阪さんに来てもらって一緒に部屋をきれいにした方がメリットがあるわ」という方もいます。「なんで?」って思われるかもしれませんが、部屋が散らかっている人ほど、モノの把握も、書類の整理もできてなくて、お金の管理が甘いので、無駄使いや、損していることがすごく多いんですね。

たとえば、家の片づけをしていると、いろんなところからお金や商品券が出てくる。確定申告の期限が過ぎた所得控除の申請用紙が出てくる。保険には入っているけど、何にいくら入っているか書類がどこにあるかもわからない。そういう方ばかりです。家が散らかっていて紙だけが片づいている人なんて、見たことありません。

そこそこ片づいているきれいな家に行っても大抵、「紙の片づけだけはどうすればいいのかわからない」「私が死んでも家の書類のことは誰にもわかりません」と言われます。そして「書類の片づけ方もぜひ教えてほしい!」と言うので、7年前に「書類」に特化した片づけ講座もはじめました。基本的には、家中のモノを片づけた後で紙の片づけをしてもらってるんですが、日々入ってくる紙の整理は毎日のこと。そこで、誰でも今すぐ紙片づけできるように、講座で確立したメソッドを1冊にまとめました。

保険は証券だけあればいい。実は、約款も不要

――私も「こういう本がほしかった!」と嬉しく思いました。でも石阪さんも以前は、財布が領収書でパンパンになるほど紙の整理が苦手だったとか?

石阪:はい、片づけられない女でした(笑)。友だちが家に来るときは、散らかったモノを別の部屋に押し込んでいましたし、必要な書類も引き出しや棚をゴソゴソ探していました。でも『これが最後の片づけ!』にも書きましたけど、夫と不動産会社を起業して宅地建物取引士の資格を取り、お客様の家の片づけ修業に夢中になりはじめた頃、朝寝坊して急いで送り出した息子が交通事故に遭ってしまったんです。

そのとき「こんなに毎日忙しくて、油断をすれば家も散らかる暮らしなのに何が片づけの先生なんだ!」と自分を責めて泣き崩れてしまって。入院した息子は幸い元気になりましたが、あれから生活が変わりました。

事故の加害者と揉めて裁判になったときも、保険の申請をするときも、証券だけで手続きできたので一度も見なかった約款は捨てました。そして、自分の家を徹底的に片づけをし紙切れ1枚まで片づけ切りました。どんなに忙しくても安定して家事を回せる暮らしをしようと決めたんです。

――『紙片づけ』の中で、保険の約款は必要ないと書かれているのは、息子さんの事故のときの手続きでわかったことなんですね。

石阪:実は息子の事故の後、私と交互に病院に泊まり込んで息子の付き添いしていた夫がヘルニアになり、その後、長女も盲腸で入院したんです。だからすごく大変でしたけど、保険証券だけあれば、約款がなくてもすぐ保険金の申請手続きはできましたね。

紙の片づけが苦手で、いざというときに必要な証券や控除の紙が見つからない人っていっぱいいます。当時は、私のように専業主婦だった人が働きはじめて忙しい家庭が増えていたので、「忙しくて家が散らかって家事が回らなくなったら、お金まわりの事故も増えるだろう」という危機感もありました。ですから、書類の片づけ講座では、家にあるモノや書類の場所を決めて、家族全員が共有できるシンプルなメソッドを教えています。

1000軒以上の家を片づけて分かった!紙が片づいていない家庭は、お金が貯まらない理由紙が片づいてない家。ファイルボックスに入れたり、重ねておいたりしているが、ルールがないのでどこに入れたか分からなくなる。(写真:著者提供)

――本の中に、夫を亡くした女性が保険金2000万円を受け取り忘れていた話が出てきます。石阪さんの片づけのおかげで証券が見つかったわけですが、見つからなかったら大変な損失でしたね。

石阪:そういう人いっぱいいますよ。保険って2000万円ぐらい掛け捨てで払っている人もいます。それなのに何の保険に入っているか把握してなくて、ケガや病気で通院しても1回もお金をもらったことがない人もいます。火災保険に入っているのに、台風で壊れた塀を自費で修理した人もいらっしゃる。

逆に台風の被害を受けて、しっかり火災保険を申請した方は「バッチリ綺麗に修理してもらってリフォーム代がういたわ」とおっしゃる方も。

あと、同じような保険に入っている人も多いですね。今はできませんけど昔は火災保険に2つ入ることができたので、支払いは1社からしか受けられないのに2つ保険料を払い続けていた人もいます。

とにかく、紙片づけができない人は、保険なども把握できておらず何かにつけ損してるんです。