「怒る」のではく「勇気づける」
選手の可能性を信じ切るべき

 腹が立ったから言うのではありません。無限の可能性を持ち合わせているのにもったいない、そういう思いが前提にあります。

「その選手の可能性を信じ切ること」、それが彼らの力を最大化することに繋がると思っています。相手の可能性を信じるからこそ、「怒る」のではなく「勇気づける」といったアプローチも、考えてみてはいかがでしょう。

海外で活躍できる選手と、そうでない選手の「決定的なメンタルの違い」

 人間は1人ひとり価値観が異なり、また火がつくスイッチも違う。本人がそのスイッチに気づいていないこともあります。ですので、体罰や脅しで無理やりスイッチを入れるのではなく、じっくり話を聞いて、1人ひとりどのようなスイッチがあるのかに気づいてもらう。その方が、主体性をもって選手が動き出しますし、湧き出てくるエネルギーはとても大きい。

 一見すると地道な方法のように感じるかもしれませんが、結果的にその方が早かったというケースはいくつもあるものです。

柘植 陽一郎(つげ・よういちろう)/一般社団法人フィールド・フロー代表。1968年生まれ、スポーツメンタルコーチ。専門はメンタル、コミュニケーション、チームビルディング。KDDIグループにおいて10年間広報に従事した後、2005年にプロコーチとして独立。2006年より本格的にアスリートのサポートを開始。個人競技・団体競技を問わず、プロ・オ リンピック代表から中学高校部活動まで幅広くサポートする。また日本全国で、 選手・指導者・トレーナー・スポーツ関係者に向けてメンタル・コミュニケーショ ン・チームビルディングに関する講演を行っている。著書 に『最強の選手・チームを育てるスポーツメンタルコーチング』(洋泉社)、『成長のための答えは、選手の中にある』(洋泉社)

*柘植陽一郎・一般社団法人フィールド・フロー代表に聞く(3)に続きます。