中央銀行による「ソフトランディング」は、史実というより神話の中で見つける方が簡単だ。先週は、金利を巡り大きな動きが見られた週だった。米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げに続き、スイス国立銀行(中銀)が2007年以来、初めて政策金利の引き上げに踏み切った。いずれも1週間前の予想を上回る引き上げ幅となった。これらとは異なり、イングランド銀行(英中銀)は第2四半期の国内総生産(GDP)が0.3%減との見通しを示し、発表された利上げ幅は予想を下回った。消費者心理を示す指数は、ほとんどの先進国で急激に低下している。5月の米インフレ率が8.6%に達したことを受けて、実際、向こう数年後のインフレ期待はさらに低下した。株価は弱気相場入りし、投資家は、より積極的なスタンスのFRBが、成長を犠牲にせずにインフレを抑える有名な「ソフトランディング」を行うという筋書きは諦めているように見える。